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40.突然の出来事

 一年後、ルイタスで盛大な結婚式が行われた。


「アメリア、愛してる。」

「私もです。」


 口づけを交わす二人。

 参列者からはうっとりとしたため息とともに祝福を表す拍手が二人に贈られる。

 厳かで神聖な空間。




 バタン!

 大きな音を立てて後方の扉が突如開いた。


「お姉様、私の身代わりで結婚なんてする事ないわ!私がエルカイル様と結婚するわ。」












 恐ろしい夢だった。




 あまりの恐怖に目を開けるとそこはアメリアの自室。

 気が付けば額にはうっすらと汗をかき、喉がカラカラになっていた。


 側机のライトをつけると同時にサブリナが水差しを持って入ってきた。


「また、例の夢ですか?」

「ええ……。」


 グラスに水を注がれ渡された。

 埋めたい水がのどに心地よい。


「何度も申し上げますが、妹のカメリア様が貴方様の身代わりになってエルカイル殿下と結婚なさることはあり得ません。」

「うん。」


 今日で三日連続して同じ夢。

 アメリアは空になったグラスを側机に置く。


「明日は結婚式のためにルイタスに移動なさる日です。お迎えにいらっしゃる殿下にお会いしたら不安も解消されますよ。」


 婚約後、アメリアの体調を考えて別々に結婚の準備をしていたのだが、結婚式を一週間後に控えた明日からはルイタスへと移動する。


 月に数回はエルカイルが会いに来てくれていたので一年離れていたと言う程の事ではないが、ようやく結婚と言う事になりやはり自分は緊張しているのだろうか?



「さあ、まだ暗いお時間です。今度こそお休みなさいませ。寝不足のお顔で婚約者様にお会いするおつもりですか?」


 サブリナに汗を拭いて貰いアメリアは改めて瞼を閉じた。









「なぜ、俺はアメリア姫と結婚しなければならないんだ?」


 到着した馬車を侍女と共に迎えに出たところ既にエルカイルは馬車から降りていた。そしていつもは一緒に来ないエルアトスの姿も。


 何やら二人は言い合いになっている。


「俺の婚約者はカメリア姫だったはずだ。何故、アメリア姫になった?」

「だから、それは一年前の話で初めからカメリア姫の事は間違いでアメリア姫が兄上の相手だったんだよ。」

「俺が指定したのはカメリア姫だったはずだ。身代わりの姫など知らない。」

「兄様!そんなこと言ったらアメリアさんが泣くよ!」

「知らん。」


 衝撃的な言葉の応酬に、アメリアはただただ立ち尽くすしかなかった。


「あの、何があったのでしょう?」


 泣きたい気持ちを決命に隠して問いかけた。言い終わると、そのまま力が抜けそうになって後ろに控えていたサブリナがそっとアメリアを支える。


「あ、アメリア様。」

「貴方が、アメリア姫か。」


 泣きそうな顔のエルアトスと初めて会ったかのように自分を見つめるエルカイル。


 アメリアはギュッとサブリナの手を握りしめた。


「ところで、カメリア姫は何処にいらっしゃるんだ?」


 ふんわりと柔らかく表情を変えたエルカイル。




 アメリアは遂に耐えきれず意識を手放した。


短くてごめんなさい。

次回は金曜日に投稿予定です。

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