38.不老不死って? 3
短いです。
二人はバチェリ公国のレイモンドから聞いたこと、そしてラウール王に確かめたことを話した。
「なるほど。それで、ルイタスの王子様は心配になっちゃったのね?」
話を聞いたエイミイはゆっくりと紅茶を飲んで一度深くため息をついた。
エルカイルはエイミイから冷たい視線を感じて自分が勘違いをさせたことに気が付いた。慌てて訂正しようとしたのだが彼女が説明を始めてしまったので口を閉じる。
「確かに、正式に伴侶となれば人魚の寿命に繋がることになるので人間よりは随分長生きするわ。でも相手の人魚が死ねば共に亡くなると言うわけではなくて、その人との繋がりが切れてるだけ。そこからは自身の寿命の流れに戻る。因みに不死身になるわけではないから事故などで致命傷を負った場合はいつでも普通の人間と同じで死ぬ。」
隣に座ったアメリアが心配そうにエルカイルを見上げた。
エルカイルは彼女にやんわり微笑んでエイミイに向き直った。
「エイミイ様。ます初めに、私はアメリアと共にずっと一緒に生きるならそれは喜びしかないと思っています。でも、彼女は違うのです。私が一人になってしまう事を恐れている。だから貴方に話を聞きにきました。誤解を与えているのなら申し訳ありません。」
そっと首を下げるエルカイル。
そして改めてエイミイを見るとやっと先程の笑顔が戻っていた。
「で、お聞きしたいのはアメリアは完全な人魚ではないと言う事なのです。それでも、今おっしゃった様な事が起こるのでしょうか?」
「そうね……過去にそう言う事例もあったかもしれないけど正直良く分からないわね。ただ一つ言えるのは今アメリアはほとんど人魚よ?」
「え?」
今まで黙っていたアメリアが思わず声をあげた。
「だって貴方、ソニンから治療で沢山『人魚』の生気を分けられたでしょ?」
《今なら人間の気配が削られて薄まってしまっているからそれを人魚の魔力で補えば君はここで暮らせると思う》
アメリアは以前ソニンに言われた言葉を思い出した。
「私はあの時、失った人間の部分の生命力の代わりに、ソニンの……人魚の生命力を貰っていたの?」
「そうね。あの子は王になったから、それが出来るの。だから今の貴方はほとんどが人魚の生命力で満たされている。」
「ソニンは?あんなに毎日力を貰って大丈夫なの?」
毎日欠かさず知慮をしてくれた従兄妹を思い出してつい心配する言葉が口から出てきた。
「大丈夫。力は数日経てば回復するの自身の怪我と同じね。王になるとそれがとても早くなるのだから人にも分けられる。」
じゃあなぜ母はそれが出来るのか?アメリアは疑問に思ったがそれよりも今は聞きたい事が多すぎた。
「じゃあ、やっぱりこのまま婚姻をするとそうなるってことののですか?」
エルカイルが話を戻した。
「そうなると思う。……たぶん。」
「たぶん?」
「どういう事?」
二人の声が重なった?
居心地悪そうにエイミイが顔をそむける。
「そんなのやってみないと判らないってことよ。寿命が繋がったかと言うのもはっきりと判るわけではないから……。因みに今もラウールが若いままだな……と思うから多分私たちは繋がっていると思う。」
「………。」
「何と曖昧な。」
エルカイルは額に指をあてて顔をそむけた。
自分たちはそんな不確かな可能性について悩んでいたのか。
「ついでに聞いておきますが、伴侶の定義は?」
そこも曖昧ならもう手の打ちようがない。
いやいっそ、そこも曖昧な心の繋がり的なものならアメリアも『お試し』などと考えなくてすむかもしれないが。
しかし、それを聞かれたエイミイはふんわりを微笑んだ。
「それは、昔から決まっているわ。《愛し合った二人が一夜を共にする事》よ。」
エルカイルの隣でアメリアの顔が真っ赤に染まった。




