27.告白
今回、区切りの関係で短いです。
お読みいただきありがとうございます。
アメリアはあまり執着しない。
彼女は幼い頃に母親と別れ、父に引き取られた。
初めは母がいないことがすごく悲しくて事あるごとに泣いていた記憶がある。でもそれもどうにもならないと理解してからは諦めてしまった。
義理の母が出来て妹が生まれて、それでもずっと父である国王には大切に可愛がられてはいたが、それは姉妹平等にするためだと理解していた。
だから多くは望まず与えられた物の範囲で暮らしていたし、自分から積極的に行動することもないまま、周囲に呆れれられほぼ引きこもりと言われつつも不便なく生活していた。
だから妹に入れ替わりを提案された時にも馬鹿なことを言い出したなとは思ったが積極的に拒むこともせずに受け入れてしまった。
自国の城と海辺の屋敷しか知らなかったアメリアに、本でしか読んだことがなかった他所の国はとても興味深かった。
そしてそこで出会ったのが、王太子エルカイル。
身代わりである自分の事をまるで宝物のように扱ってくれるその男性に申し訳なく思いつつ惹かれていた。このまま何もなく続けばと願うほどに。
しかし事実が明るみに出てしまう。
そして拒まれた。
婚約破棄。
初めはその事が悲しくて悲しくて、自国に帰って部屋を出る事すら出来なくなった。
でも、彼から別れの品が届いてそれを見た時にこれは母の時と同じだと気付いた。
そう、今更どうにもならない。
だからやはり自分には過ぎた話だったのかと諦めた。
それなのに今彼はアメリアにもう一度チャンスをくれた。
「私は今までいろんなことを諦めてたんです。勿論エルカイル様の事も。でも先日やはり好きだと思う事ができました。」
「そう?」
「はい。だから嫌われていてもずっとお慕いしていようと心に決めたんです……。」
きっとこれは初めて執着した感情。
だからこのまま流されるように過ごすのは嫌だった。
「私はエルカイル様の事が好きです。身代わりなのではなく、アメリアとして。」
アメリアは隣に座るエルカイルの手を掴んだままじっとその美しい瞳を見つめた。
「ありがとう。俺もずっと君だけだ。今までもこれからも。」
見つめていたエルカイルの瞳がスッと細められ、そのまま近づいてきた。
そしてそっと頬にキス。
驚く間もなく今度は唇に。
優しい口づけに心がふんわり暖かくなった。
◆◆◆
会場に戻るとカメリアたちは既に帰ったようたった。
二人は城に戻りアメリアは今回の事をまず父に報告した。何故かすんなり喜んでくれたので訳を聞くと既にエルカイルから今回の申し出の許可を願う書簡が何通も届いていたらしい。
「彼から直ぐにでも改めて婚約をしたいが今はまだ時期が整わないのでそれまでは誰とも見合いをしないで欲しいと、アメリアの目に他の男性を見せないでくれと切々に書かれていてそこまで好かれている自信がないのかと少し不憫に思っていたところだよ。アメリアはずっと彼の事しか見ていなかったのにな。」
「え、そうでしたか?」
「おや、自覚なしか。最近アメリアの表情が動くのは彼の周囲の話題の時だけだったよ。それ以外は私と話していても本当につまらなさそうだった。」
「そうでしたか……。」
からかわれている事に気が付いてアメリアの頬がうっすら色付く。
「そうそう、最近ルイタスが遠征していた国々だが、全部お前に興味を持った国ばかりらしいよ。なかなか過激な男だ。」
アメリアは黙って、上機嫌にクスクスと笑い続ける父をじっと見つめていた。
まだまだ続きます。
明日できた更新予定。間に合わなければ来週かな
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