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23.親子

ちょっと短いです。

 

 アメリア達は城に一泊したのち、海辺の屋敷へと帰ってきた。


 結局、ソニンの申し出については正式にお断りをした。


彼は仕方ないと笑っていた。長い人生なのだから気が変わったらいつでも声を掛けて欲しいと言っていたから困る。ただ彼はエルカイルの事も気に入ったらしいので彼となら仕方がないとも言っていた。


 そう、やはりアメリアはエルカイルの事が諦められない。


それをこの間あの海で自覚してしまった。彼が死んでしまうかもしれないと思ったときアメリアはこの世がなくなるかのような喪失感を覚えた。夢の中だけでも身体がふるえて、でも自分なら助けに行けるかもしれないと分かると喜びが溢れた。


 もう彼はそして、あの国はアメリアを必要としてくれないかもしれない。でもソニンに求められたときに彼でなくては嫌だと思ってしまった。



「アメリア。なんだか難しいこと考えてる?

「え?」


 食事中に母にそう尋ねられてアメリアは我に返った。


「ナイフとフォークを持ったまま食事が進んでいないわよ?」


 手元をみれば手つかずの食事が寂しそうアメリアを見つめている。


「ごめんなさい。」


 対面に座る母と目の前の食事に素直に謝罪をしてアメリアは手を動かすことを再開する。


「後で治療をしてあげるから、その時に教えてね。」

「………うん。」


 どうやら新米母は娘の悩み相談にとても前向きのようだった。



◆◆◆



「あら、そんな事だったの。」


 エイミイはコロコロと笑って愛しい娘の額にそっと唇と添えた。そこから暖かいものが体中に広がっていく。エイミイはソニンと同じくらいの力があるらしく彼がしてくれていたアメリアへの治療を引き継いでくれたのだ。更に言うと、ソニンは多くの仕事の合間にやってくれていたそれを、エイミイはアメリアだけに集中できるので効率はとても良い。


「そんな事って言いますけど……一回断られてるんですよ?」


 治療前に今までの事を洗いざらい白状させられた。入れ替わりから、婚約破棄までは少々お怒りの母だったがアメリアがエルカイルに本気だと知ると穏やかに微笑んだ。


「人魚の気質はね、一途なの。娘の貴方もそれを継いだのね。」

「一途?」

「そうよ、私もずっとあの人が好きだわ。もう一緒になれないかもしれないけどここにいればあの人を感じられる。それだけで幸せ。」

「会えなくても、幸せ。ですか。」


 自分はそう思えるのだろうか。

 アメリアは嬉しそうに微笑む母を見る。


「勿論会いたいわ、話もしたい。それ以上の事したい。でも彼がそれを望まないなら、それは私のしたい事じゃない。」

「わたしは……判りません。」

「アメリアはまだ始まったばかりじゃない?何度か話をして、それでどうしたいか決めればいいのよ?まだ若いのだから。」


 アメリアとそう年が変わらない外見の母にそう言われてアメリアは少し返事に困る。


「そろそろ、陸を長距離移動しても大丈夫ね。治療は終わりよ。お城に帰りなさい。」

「もうですか?」


 ソニンにあと一週間はかかると言われていた治療がここにきて二日で終わることにアメリアは驚いた。


「私、人の治療得意なの。」

「お母さまは……城に、来ないんですか?」

「そうね、行っても良いけど今はむり。」


 エイミイはそう言うと立ち上がり海が見える窓の側に近づいた。


「人型になれてはいるけど、残念ながら海から離れるのはまだ出来そうにないわ。完全な回復にはもう少しかかりそう。」

「それって私の治療を優先させたから………?」


 あんなに父と会いたいと言っていたはずなのに……。


「母が子を優先するのは当たり前よ?それよりも貴方の好きな人、ここに連れてきてね。待ってるわ。」



 エメリアは改めてこの女性が自分の母であることを感謝した。








「招待状、ですか?」


 数日は母子だけの時間を過ごしクリーク城に帰ってきた。


 自室で一息ついていると執事が一通の手紙を持って現れた。先程帰ってきた挨拶のため、父と話をしたがそういったことは話題にのぼらなかったと思うのだが?アメリアは不思議に思いながら手紙を受け取る。


「はい、バチェリ公国の建国記念祝賀だそうです。先程届きました。あちらの王妃様がぜひお会いしたいとの事です。」


 確かあの国は王太子が丁度成人を迎えた様な気がする。きっとめぼしい国の姫に声を掛けているのだろう。


「まだ本調子ではないのでお断りして……。」

「実はもう一通ございまして。こちらはルイタスのエルカイル殿下からです。公国の祝賀に行かれるのならエスコートをしたいと……やはりお断りされますか?」


 エルカイルの名前にトクンと心臓がはねた。




 彼に会える。



「ルイタスとはあんな事がありましたが、あちらを離れる際に今後も良い関係を続けたいと先方もおっしゃってくれました。それを周知する良い機会です。お断りするわけには行きませんね。」


 アメリアは突然の事で回らない頭を精一杯駆使し、執事のそう言い訳をして招待を受ける由の手紙を出すことを伝えた。

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