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18.噂

話の区切りで

本日、二話に分けました。


 ガセリアから帰ってきたら別の国から『ルイタスにいるアメリア』に面会の申込みが入っていた。


 ユリース王子がどこかの国を焚きつけたらしい。証拠はないがアイツしか知らない情報なのだからそうだろう。舌の根も乾かないうちにという言葉は彼のためにあるのかもしれない。折角これからアメリアを口説きにかかるつもりなのに、本当に迷惑だ。


「エルカイル、いったん白紙にするのはどうだろう?」


 報告と見舞いのために父の寝室を訪ねると既に起き上がってバリーと簡単な書類仕事をしているところだった。


「まだお披露目もしていないのだから丁度良いと思うよ。」


 父の言葉に無言のエルカイル。パントバリウスは仕事の手を休めてバリーから手渡されたお茶を一口飲んだ。


「……騙されたと思っているんですか?それならあの妹が幼稚すぎて彼女は『仕方なく』この国に来たんだと思いますよ。彼女は悪くない。」

「ああ、そっちは気にしてない。この際、寧ろアメリアで良いと思ってる。」

「じゃあなんで?」

「エルカイル。お前は幼稚な妹の代わりに仕方なくこの国に来た姫を『仕方なく』妻にするのか?それとも自分が望んだ娘を妻にしたいのか、どっちだ。」


 あえて言葉を切ったパントバリウスの瞳が、じっとエルカイルを見つめる。


「好きなアメリアを妻に望みます。」


「なら初めからやり直すのが良いんじゃないか?それと、このままだと諸外国に人魚の血を引くアメリア姫を我が国が独占していると言われ始めるようだ。」

「独占?なんですか、それは。」

「人魚の血を引いていて万能薬となる血を持っているかもしれないという信じられない存在の彼女が『本物』だからこそ、本来の相手と入れ替わって嫁ごうとしている事を私達が怒りもせずすんなり婚約を継続すると言う事が、実は人魚の噂は本当でなし崩しに彼女を独占するつもりがある事だという噂が流れている。まあ、出元は判り切っているが。」


 エルカイルは見開いたままだった瞳をフッと閉じると大きくため息をついた。


「もう出元を叩くだけではダメなんですね。」

「私の耳にまで入っていると言う事はほぼ各国に広がっていると考えた方がいいね。彼女は狙われるよ。」


 それごとき、守れないと自分だとは思っていない。エルカイルは父の言葉にそう反論しようとした。

 しかし何かがあって取りこぼしたら、それは一生後悔する。それなら全てを万全してしまった方が良いに決まっていた。


「わかりました。婚約は白紙に戻します。」


 エルカイルは直ぐに人魚の噂は嘘だったと、そう弟に部下を使って拡散させる様に手配をした。そして手違いで国に迎えてしまった『カメリア』ではない彼女はルイタスの怒りを買い国へ戻った。




 この噂が浸透するまで、俺は彼女と会う事はないだろう。










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