表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

解離性同一性障害

今回は、精神科医の男性からの書き込みがあった。


tsuyoshi244さん

2022/7/29 22:13


towako1025さん、fumina237さん

大変興味深い投稿をありがとうございます、拝読させていただきました。

精神科医としてコメントをさせていただきます。

おふたりには「解離性同一性障害」いわゆる二重人格の可能性があります。「ジキルとハイド」でおなじみの二重人格はフィクションの中の話ではありません。現実に起こります。私自身、数名の患者さんと実際に接してきました。

towako1025さん、かわいそうにあなたは一人で抱え込んでいます。

おそらくいつも我慢をして、家族の前でも明るく振る舞っていることでしょう。そうやってご自身を抑圧しているのです。この抑圧がどんどん大きくなり、ついには、一人では抱えきれなくなっています。誰も助けてくれないので、もう一人別の自分を作り出して二人で乗り切ろうとしているのです。二重人格が発生する典型的なパターンと言えるでしょう。

あなたは頑張りすぎています、これ以上頑張ってはいけません。いままであなたが家族を支えてきました。今度は家族があなたを支えられる番なのです。

とにかく旦那さまは今すぐ仕事を見つけて働いてください。仕事を選んでいる余裕はありません。多少なりとも旦那様の安定収入があれば、心の病を引き起こした原因を取り除くことができます。

非常事態であることを理解していただきたいので、厳しいことを申し上げます。旦那様はtowako1025さんに頼りすぎです。心の病を発症するまで妻を追い詰めるなど、夫として失格です。どうして奥さんのSOSに気づかないのでしょうか? 仕事をしているわけでもないのに、もっと大切なことがあるというのでしょうか? どうして仕事をしないのでしょうか? 精神的な理由で働けないのでしょうか? 奥様はすでにいっぱいいっぱいです。これ以上負担をかけないでください。こんなときこそ医者を頼ってください。ご夫婦で早急にカウンセリングを受けてください。また、実家に援助をお願いしてはいかがでしょうか? おじいちゃんおばあちゃんは、小学生のお孫さんのために力になってくれるはずです。しばらくお仕事はお休みしてください。

気がかりなのは、もともとのあなた(病気のせいでそう信じているだけですが)のお宅を直接訪問したとのことです。今回は相手の方と警備員の方の対応に救われました。大きなトラブルに発展するようなら、強制的な入院が必要になることもあります。二重人格が現れる頻度が月に一回程度と少ないのは幸いです。

あなたは「絶望」という言葉を使っていますが、「絶望」する必要はありません。病気にかかっただけです。この病気は確実に治ります。でも、一人で治すことはできません。医者と家族を頼ってください。いままではあなたが家族を支えてきました。いまからは家族があなたを支える番なのです。

fumina237さん、あなたの場合は、元同僚の自殺現場を目撃したことによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)が解離性同一障害を発症させたと考えられます。辛かったでしょうね。投稿からは亡くなった方ととても親密な関係だったがうかがえます。それだけではありません、大切な人が亡くなったことに責任を感じ、ご自分を責めているような印象を受けます。今の生活やご家族の状況はわかりませんが、おそらくすべてを一人で抱え込み限界を超えてしまったのでしょう。一人では手に負えなくなって、もうひとつ別の人格を作りだし、頼ろうとしたのです。

大切な人を失った悲しみは時間をかけて癒していくしかありません。一人で向き合うのはとても辛いことです。医者を頼ってください。医者と時間があなたの味方になってくれます。どれだけ苦しくて悲しくても、勇気を出して心の内を打ち明けてください。声に出して涙を流してください。涙は気持ちを浄化してくれます。同じような体験をされた方が集まるグループワークに参加するのも良いでしょう。あなたの悲しみを自分の悲しみとして受け入れてくれる人がきっと見つかります。

おふたりとも、今は病気を治すことを最優先してください。

カウンセリングと抗不安薬の服用により、症状の改善は大いに期待できます。ただ、完治するまで時間がかかる場合があります。私が診た患者さんのなかには、別の人格が完全に現れなくなるまでに二年近くかかったケースもありました。それほど大変な病気であることをご家族が理解してあげてください。

解離性同一性障害は女性が発症するケースが多いようです。私の患者さんもすべて女性でした。投稿を読んで、「入れ替わり」というキーワードが気になりました。

私見ですが。男性よりも女性の方が生き方のバリエーションがずっと多いのではないでしょうか。歴史上の人物を見ても、数奇な運命をたどる人物は圧倒的に女性です。もし本当に入れ替わりが起こり得るとしたら、「この人と入れ替わりたい」と思わせる人は、圧倒的に女性である気がします。(もちろん、入れ替わりが現実に起こることはあり得ません。)

私のような男性の立場で考えると、たいていの男は嫉妬をすることはあっても「誰かと入れ替わりたい」と願うことは決してないと思います。よく言われることですが、男性は自分の長所を過大評価する傾向があります。たとえば、外見が冴えなくても、仕事でも趣味でも何か一つ秀でた部分があれば自分に自信を持って幸せに過ごせます。自分よりカッコいい男と顔を取り換えたい、などとは望みません。顔では負けても、他で勝てれば構わないのです。一方で女性は自分のできない部分に目が行きます。キャリアを積んだ女性が子供を持たなかったことで、あるいは幸せな家庭を気づいた方がキャリアを積んだ友人の姿を見て、それぞれ負い目を感じ、うつ病になってしまうケースは決して少なくはありません。

女性はとても繊細なため自信を持つことが苦手のようです。イギリスの国王だったエドワード8世は離婚歴のある「シンプソン夫人」と結婚するために退位しました。そのシンプソン夫人はこんな言葉を残しました。You can never be too rich or too thin-どれだけお金があっても、どれだけダイエットをしても満足できないという女性心理を表しています。

一般に男性は能力が低いため、多くのことを同時に処理できません。そこで優先順位をつけ、順番につぶしていくアプローチをとります。そして上の方のいくつかを片付けると、十分満足し、やり残しを最初からなかったものにします。

女性は能力が高いので、多くのことを同時並行でこなすことができます。優先順位をつけても、すべてのアイテムに目を配ります。これが女性らしいこまやかな気遣いです。女性の方が男性よりも求めるレベルが高く、自分に厳しいのです。できる男性ほど女性の優秀さに気づいています。ですから女性同士が足を引っ張り合い、マウントを取り合ってつぶし合ってくれることを歓迎します。「女の敵は女」という言葉ほど、男にとって都合のいい言葉はありません。

中世のヨーロッパには魔女狩りという儀式がありました。魔女狩りとは、能力の高い女性を排除して己の立場を守ろうとする男性権力者の保身が、醜悪な形をとったものです。ヨーロッパは既にその黒歴史と決別しました。現代では多くの国で女性のリーダーが誕生しています。

この国はどうでしょうか?

経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」では日本は156か国中121位と、最低レベルです。解離性同一性障害を女性特有の症状にする現代の日本と、魔女狩りの行われていた中世のヨーロッパは、どちらも同じくらい女性が生きづらい社会ではないでしょうか? 

そんな社会だからこそ、精神科医は頼られる存在にならなくてはいけないと信じています。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ