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六、
六、
陽だまりだけが、言葉のない想いを紡いでいく。炎天下では言い表せない、赤い鳥居に埋められたタイムボックス。
アコースティックギターを脳内に響かせ、センセーショナルな数珠に思考を置く。体内のエントロピーが一、二、三と謂れのない深呼吸を刻めば、心拍数が増大した。
「夏だ。着いたぞ。」
声に反応した体が、徐々にこわばりを解き始め、やがて固く瞑っていた瞳も開いた。
「ここもまた、時の流れの違う。人と森が混在した場所なのね。」
私は、すうっと息を吸い込むと、私の体を支えてくれている狐の手をぎゅっと握ったのだった。
夏といえば、アコースティックギター。
ギター弾けないのに、謎の価値観を持っています。