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四、
四、
ぼんやりとした視界に、揺らぐ薄緑の海。春を告げる聖歌隊は、遥か昔に梅蕾をつけた桜を仰いでいるようだった。群青にツクシが散り、かと思えば健やかな夕映えが訪れる。父を待つ幼子が、諦めて水溜まりを小川と呼ぶように、永久の煉獄を恋と呼ぶように。つたなさの残る情景に、私は呆然と梅の香りだけを感じていた。
振り替えれば、蜃気楼の岩影に雨粒を舐める童がいる。もう一度振り替えると、水中に泳ぐメダカらしき魚があった。天を仰げば、分かりきったこと。晴天が、桜並木を先取っていた。
僕は、花粉症なので春は家に引きこもりがちですが、四季折りの中で一番美しいのはやはり春でしょう。
桃畑や、梅の花が咲く様子を見ていると、おつまでもそこに留まっていたいような、頭の片隅で時々懐かしむぐらいがちょうどいいと思うような、不思議な感覚に陥ります。
まあ、もっとも今は人類の敵、夏が猛威を振るっているのですが。熱中症や、立ち眩みなんかには皆さんもお気を付けくださいm(_ _"m)