十三、
十三、
「俺の分の団子はないわけ?」
「ないわよ。」
帰ってきた狐を尻目にもぐもぐと団子をほおばる。
「一個ぐらいいいじゃないか。」
「やだ。」
お皿を抱え込んでみたらし団子を一つ口に入れる。彼は私を膝の上にのせて恨めしそうに私を見ているが…、知ったことではない。
「コセンには茶を用意しているから、それを飲みなさい。こんなに小さな子から団子を奪い取るなんて、酷いことお前ならしないだろう?」
「…俺より年上だけどな。」
小声でつぶやく狐は、諦めたようにお茶に手を伸ばした。
「じゃあ、私は夕飯の支度をしてくるから。」
「あ、手伝います。」
「いいんだよ。お嬢さんはゆっくりしてなさい。掃除を手伝ってくれたんだから。」
そう言って、住職さんはお辞儀をすると部屋から出ていった。
「...。」
二人とも喋らないまま、時計の秒針だけが流れていく。決壊したダムを融通が効かぬ古川として片付けてしまったみたいに、うだつのあがらない時間が過ぎて、私は無意識に頭を撫で始めた狐の手を払い除けた。
「俺にも、一個ぐらいくれないか?」
「いやよ。」
住職さんが用意してくれた甘いお菓子を、一つ口に運ぶ。別に甘味類が特に好きという訳ではない。でも、私を抱えて尚も頭を撫でようとしてくる狐にあげる菓子は一つとしてなかった。
「めんどくさいやつだ。」
「氷なら、あげたじゃない。それでいいでしょう?」
一瞬だけ琥珀の瞳が私の瞳とかち合う。
「はいはい。」
ようやく、諦めたらしい。耳を垂れて項垂れる姿に、私は勝ち誇って団子を彼の口へと押し込んだのだった。
お団子食べてるだけの章ですね。狐くんはおはぎとかが好きそうだな。座敷童ちゃんには、純粋に僕が好きなみたらし団子を食べていただきました。三色団子も大好きなので一瞬出すか迷いましたが、秋と言えばみたらし団子かなと。なんとなく。季節感にあうもの優先で座敷童ちゃんには食べていただきました。
今日は僕もみたらし団子、買って帰ろうかな。団子を片手に小説を書きたいところですが、…来週に控えたテスト勉強を頑張りたいと思います。