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ダイナー2
俺はいつも通りダイナーにいる。
ファミレスだが調度品もサービスもアメリカンダイナーを手本にしている店だ。ここにいると、行ったこともないアメリカにいる気分になれる。
「いっとけば良かったな、アメリカ」
行こうと思えばいつでも行けたはずだった。
「そのたびにキミはパスポートがないって言うんだろ」
顔のない美少年が茶化す。たしかにそのとおりだ。結局のところ面倒くさかったのだ。
「またアビスマルが倒されたぞ。コース料理だとしても進みが早すぎる」
俺の向かいに座る、顔貌のわからない美形に嫌味を言う。目下のところの二人の話題はこれがメインだ。
「料理を食べるスピードはお客様次第だからね。それにこれは予定通りでもある。負け惜しみじゃなくね」
調理場の騒がしさが聞こえる。今も新たな料理、新たな破壊の獣が作られている。
「そろそろ次の料理ができそうだ。今度のはキミの期待に答えられたらいいんだけどね」
調理場からの音が上がる。俺は料理ができあがる瞬間のこの音が好きだ。
匂いと音が期待を掻き立てる。どんな料理も食べる前の期待が重要なのだ。期待こそが料理を美味しくする。
調理場から溢れた魔物が調理人を何人も押し殺した。
これは期待できそうだ。




