母との会話
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母と妹を部屋へ案内し、ワタシも一緒に部屋に入った。女将から「少し話でもして来なさい」と言われたためである。妹のミレイは久しぶりにここに来たということもあり「探検してくる」と言い、荷物を置くと同時に部屋を出ていった。
「二泊三日よろしくお願いします。仲居さん」
「えっ、一泊じゃないの?」
「息子の頑張りを見たいでしょ」
久しぶりの母との会話。どこかぎこちなく、何を話したらよいのかわからない。
「どんな感じ?」
「どんな感じって毎日忙しいし、大変だけど、楽しいよ」
「そう、よかった。他のみんなも元気そうね」
会話が続かない。いつもの母なら一方的にあれやこれやと言ってくるはずだ。
「忙しいから戻るね」
そのような空気に耐えることができずに部屋を出ようとする。
「いってらっしゃい。母は久しぶりの温泉でも満喫するかね」
「ごゆっくり」
部屋を出る。母は何かを言いたい様子であった。
「見ておばあちゃん・・・」
少し遠く、受付あたりであろうか、ミレイの声が聞こえる。
「いらっしゃいませ!」
受付に行くと着物を来たミレイと女将がいた。母は「手伝わない」と言ったが、ミレイは手伝う気満々みたいであり、挨拶の練習をしていた。
「外国の方がいらっしゃるんでしょ。早く会話したいな〜」
ミレイは大学では外国語を専攻しており、留学経験も何度かある。英語での日常会話は普通にすることができる。
「タケ、ミレイに少し教えてあげなさい」
「は〜い。女将。しっかりとついてきてよ」
「りょうかいです。タケル兄様!」
「まずは風呂掃除からだから、着替えるよ」
「ぴえん」
着替えたばかりの着物を脱がないといけない妹は少し残念がり、その姿を見てワタシは笑った。
そんな様子を見ている女将も少し嬉しそうに笑い、久しぶりに2人の孫を見るおばあちゃんの顔になっていた。
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