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退けない戦い

 スルーズ投資商会を中心に、じっくりと動く中、ノベルは単独である行動を起していた。


「――なるほど、参考になりました。ありがとうございます」


 ノベルは礼を言うと、小さく古びた一軒家を出る。

 そこは一人で情報屋を営んでいる男の拠点だった。

 それなりの実力者だと聞いているが、スルーズ商会の誘いを断った一匹狼。

 そんな彼だからこそ、ノベルは個人的な調査依頼を発注していた。


「ノベル様、いつの間にあんな依頼を出していたんですか?」


「まあ、ちょっとね」


 アリサの質問の答えをはぐらかす。

 常にアリサが護衛しているわけではないので、彼女が知らないのも無理はない。

 これはノベルが独自に動いていたことだ。


「それにしても……エデンは本当に変わったんですね」


 ノベルの依頼していた調査内容は、エデンの国内情勢についてだった。

 アリサは情報屋から聞いた情報を思い出し、寂しそうに下を向く。


 エデンでは王が代わった当初こそ、機動的な政策の実施で改革が進んでいったが、今では大商会の権力が強くなって弱小商会はすぐに潰れ、政治家たちは人気取りに終始しているという。

 それでもエデン国民は、なにかあれば国が助けてくれると思考停止し、気に入らないことがあれば政治家を猛烈批判する。だがいざとなれば、批判していた政治家にすがりつくだけの身勝手な民と化していた。

 ノベルは激しい怒りを覚えた。

 父レイスを引きずり降ろしてまで、変わろうとした国の末路がこれなのかと。

  

「ノベル様……」


 無意識にノベルが拳を握りしめていると、アリサが心配するように顔を覗き込んでいた。

 ノベルは無理やり笑顔を作る。


「なんでもないよ。とにかく、僕がエデンで一番知りたかったことは知れた」


「一番知りたかったこと、ですか?」


「そう。アリサは、僕がさっき最後に質問したこと覚えてる?」


「はい。『エデンでも、新通貨レンゴクは流行っているのか?』と。一部では人気が出始めているという回答でしたね」


 ノベルは頷く。

 それこそ、真実に近づくために重要な鍵だった。

 

「僕たちは、思っていたよりもずっと真相に近づいていたのかもしれない」


「へ? それはどういうことでしょうか?」


「なぜ、闇市場がないはずのエデンでレンゴクが流行ってると思う?」


「そ、それは……実は隠れた闇市場があったとか、他国の人が持ってきたとか、ですかね?」


「それもあるかもしれない。でも――」


 ノベルは立ち止まり、周囲に聞き耳を立てている者がいないか確認すると、アリサにだけ聞こえるように、小さな声で独自の見解を語った。


「――魔人が裏で糸を引いているのかもしれない」


 それを聞いたアリサは驚愕に目を見開き、言葉を失う。

 かつて、城内で見た怪しい人影。

 実はそれが魔人だったのではないかと、ノベルは思っていた。 


「そんな……」


「僕はそれを確信してる。アリサ、この一件が終わったら覚悟を決めて欲しい」


 ノベルは決意に満ちた表情で告げた。

 復讐の日は近いのだと。

 アリサは気を落ち着かせるように深呼吸すると、まっすぐにノベルの目を見つめて告げる。


「お伝えしたはずです。たとえイバラの道であろうと、あなたを守り抜くと」


 ノベルは、こんな素晴らしい仲間がそばにいることを心から感謝した。

 気恥ずかしくて本人には伝えられなかったが。

 二人はそれぞれの決意を胸に、魔人との戦いに身を投じていく――

気に入って頂けましたら、ブックマークや評価をよろしくお願い致します。

みなさまの応援が創作活動の糧になりますのでm(__)m


また、完結済作品

『転生の設計士 ~科学と魔法が融合するとき、異世界の逆転劇が始まる~』


https://ncode.syosetu.com/n0778fw/


も、よろしくお願い致します。

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