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08 クォ・ヴァディス

 駅で妻を待っていた。


 ふと懐かしい香水の匂いがして、僕は反射的に振り返った。

 おそらく、今すれ違った女性からだ。


「あの、すみません」

 思わず追いかけ、気付けばその手を掴んでいた。

 振り向いた女性は、知らない顔だった。


「どうかされましたか?」

「あ……いえ、知人に似ていたものですから」


 急に声をかけられたというのに、女性は嫌な顔一つせず、にこやかに微笑んでいた。

 では、と会釈をして行こうとする彼女。僕は何か言わなくてはと思い、必死に言葉を探した。


「どこへ、行かれるのですか?」

「南の方へ。暖かいところが好きなんです。あなたは?」

「北です、特にあてもなく。……新婚旅行なんです」

「そうですか、お幸せに」


 女性は丁寧にお辞儀をすると、僕たちとは逆方向へと歩いていった。



「どうしたの、あなた」

 聞き慣れた声がした。

 振り向くと、いつもと変わらない笑顔の彼女がそこにいた。


「いや、何でもない。昔の知り合いにね、似た人がいたんだ」

 僕はさりげなく袖を口元に寄せ、移り香がしないかを確かめた。




08 Johnny on the Monorail


ついにアルバムも最後の曲になりました。

ここだけは特にタイトルでひねることもなく、逆に本文中に曲の中身を持ってきました。

といってもモノレールじゃなく、ただの駅構内ですが。


一緒にモノレールでいこうよ、って呼びかける歌なのですが、それはフラグです。そんなこと言うってことは、乗ってくれないってことですよ。

でも、別れの曲にしては力強く、がんばって生きていこうねって感じがしてきませんか?

モノレールモノレールと、最後まで耳に残る曲ですね。これだけ言っても乗ってくれないってことは、やっぱり……


蛇足ですが、クォ・ヴァディスとは、「どこへ行かれるのですか?」という意味です。

聖書からの言葉で、同名タイトルの映画もあります。(それも元をたどれば小説ですが)

磔刑にはなりません。

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