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4月19日-2

間に合いました。

 目が覚めたらそこは窓すらない寂しい部屋でした。

 手には手かせのようなものがついており、そこからすごく太いケーブル用のようなものが出ていて、私が寝かせられている粗末なベッドの脇の機械に接続されています。


 それを外そうと手を伸ばすと――


「それは外さん方が良い、後悔するぞ」


 とどこかで聞いたことがある声がしました。


「あなたは――思い出しました!!」


 埠頭での戦いが一段落しそうなときに助けを求めてきた方で、思い出せば“ディープスロート”の身元を引き受けに来た方です。

 助けるため近づいたら――


「薬を打たれたんでしたっけ」


 おそらく装備類の制作を行っている“ブラックスミス”が作った薬だと思います

 でないと私が昏倒するほどの薬は今の世界には存在しないので。


「それで、後悔するとはどういうことですか?」


 まだ外していない手かせを見せつけるようにして聞き返しました。

 すると一つの端末を見せられる、そこには――


「これは……かわいそうに……」


 そこには人工呼吸をつけられた子供やのどに酸素や栄養を送り込むチューブがつけられた子供などかろうじて生きているとしか言えない子供たちが映っています。

 見たところ加工された映像ではないようです。


「この子供たちの生命維持装置や病院の電力を賄っているのは君だよ」


「はい?」


 思わずおかしな言葉を吐いてしまった。

 が、たしかに手かせから何かがかすめ取られている感覚があります。


「それにしてもたった一人であの規模の施設の電力を賄える、それだけでも驚きだ」


「誉められてもうれしくないですよ」


 内心舌を出して否定する。

 ついでに外部と連絡を取ろうとして――


「電波暗室に入れるとは手が込んでますね」


 おそるおそる手かせにつけられたコードの長さを確認するとかろうじて身を起こせる程度の余裕しか無さそうだ。

 破壊するためにはケーブルを引きちぎらなければいけないでしょう。

 そうしたら、さっきの映像の子供たちは死んでしまう。


 単純なうえに、私が冷酷な人間だったら足止めにもならない脅しですが――


「厄介ですね」


 この状態なら子供の命を見捨てることができないと見切られているということになります。


 そこで扉から一人入ってきました。


「“リーパー”……」


「はいそうです」


 そこで今まで話していた方が“リーパー”みてあきらかにおびえた表情をしてそそくさと部屋を出ていきました。


「“リーパー”は何をしたんですか? 明らかに怖がっていましたよ」


「ふぅ、本当にあなたは根が良いですね、相手はあなたをだました人ですよ」


 半ば以上呆れた表情で“リーパー”に諭されました。

 ですが性分なので苦笑で流すことにした。


「それで発電装置になっている私に何の用ですか?」


 自嘲気味なその言い方に“リーパー”は――


「お話をしませんか?」


「……暇ですし、というよりも私が何もできないようここまでおぜん立てしたのは“リーパー”ですね」


 向こうのその指摘が来ることは想定していたようで大して驚いた様子もなく頷きました。


「どちらかというと先ほどの人の汚名返上のおぜん立てをしたというのが強いですけどね」


 クスクスと笑いながら続けて話しています。


「私たちを確保しようとして、大きな被害を出して慌てていたので、あなたの事ね」


「ずっと前と言いますか、あの人が“ディープスロート”を迎えに来た時にすでに今この状況の画図面を描いてますよね?」


 でないと電波暗室とか用意できているはずがないのです。


 しかし、さすがに明かすつもりはないのかあいまいな否定とも肯定とも取れる態度をとる。


「では、いくつかの答えを伝えましょう」


 おそらく九割本当で、残り一割が致命的に違うことを伝えられる。

 と思いますが、それでも情報が欲しいので――


「わかりました、お願いします」

明日も頑張ります。

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