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4月18日-8

なんとか間に合いました。

 処理も終わりゆっくりと地上に降りていく。


 勢いよく氷の塊が高空に飛んでいったため周りの分厚い雲は吹き飛ばされ。

 逆に舞い上げられた雪が漂うように降っていく。


 透き通るような昼の空の中に降る雪は幻想的だ。


「きれいだな」


 空を見上げながら淡雪がそう呟いた。

 するといつの間にか淡雪は隣に並んで見上げている。


 少しためらいながら淡雪の片手に手を伸ばす。

 ゆっくりと握ると、一瞬だけこちらを見て――


「……えぇ」


 とはにかむような笑顔を見せてしっかりと握り返してくれた。


 装甲越しなのが少しもどかしいが、それでも気持ちは通じていると信じられる。

 だから――


「少し寄り道しないか」


「そう、ですね」


 互いに悪戯っぽく笑いながら静かそうな場所へと向かって降りていく。


==================〇=============


 降りた場所は雪が積もった高い山の上だ。

 人がいないことは調査済みで、雪化粧された壮大な景色がどこを向いても目の中に入る。


 強化外骨格は脱いで、膝から先だけを残している。


 雪はもう降っておらずただ刺すような冷たさを持った空気が満ちてる。

 周りを見渡して淡雪の方を見ると――


 いきなり視界が白に埋まった。


「つめた!!」


 と驚いた。

 どうやら淡雪が俺の顔を狙って軽く丸めた雪玉を投げてきたようだ。


 当の淡雪はクスクスと笑っている。


 そして――


「ごめんなさいね、山上さん、これを上げますから」


 と言いながらビスケットのブロックの様にみえる携帯食品をパッケージを破きながら差し出してきた。

 その中で人気が高いチョコレートフレーバーだ。


「なら許した」


 薄くだが笑みを浮かべていることを自覚しながらそれを一本受け取りる。


 するとどこかから取り出したのか淡雪は一枚のシートを広げて座っている。

 その右隣には人がぎりぎり一人分座れそうだ。

 そして淡雪は笑顔で手招きしている。


 すこしだけ気恥ずかしいが隣に座る。

 すると淡雪は少しだけこちらにスライドし、ピタリと身を寄せてきた。


「こうすると少し暖かいですし」


「そう、だな」


 左側にかすかだが体温を感じる。

 空の左袖に気付いて淡雪は少し表情を曇らせる。

 だから、淡雪に向けて軽く首を振り――


「治せるように頑張ろう」


「はい」


 うまく顔を晴らすことができなかったので、義腕を出して指を絡めるように淡雪の手をつかむ。

 感触は伝わらないが――


「……ひんやりしてますね」


「まぁ、雪の中だからな」


 無言の時間が流れる。

 互いに切り出す言葉が見いだせないからだと思う。

 しかし、気まずいわけでもない微妙な空気だ。


 そこで携帯食料を右手につまんだままだったことを思い出して一口かじる。

 少しだけしっとりとした食感はゆっくり食べるならぎりぎり飲み物がなくても何とかなりそうだ。


 淡雪もまたゆっくりと食べ始めた。


「静か、だな」


 さして大きくないその声がはっきりと伝わるくらいに静かだ。


「ええ、あまりこういう時間は取れてなかったですからね」


 何かを思いだすようなつぶやきで答えてくれた。


「まだ三週間経っていないんですよね」


 ポツリと淡雪はそう呟いた。


「たしかに」


 つぶやく。

 四月の頭に襲われて、ほぼ死んで、助けられて日本中を飛び回って、必死に駆け回ってきた。

 だから――


「俺は淡雪に助けられたから今生きている、だからあまり気にしないでほしい」


「ですが――」


 まだ何か言いたそうなので――


「じゃあ、いつものように膝を貸して」


「え?」


 周りは少し寒いが、日差しはそれなりにあり、段々と眠気が強くなってきた。


 すると淡雪はまたどこかからブランケットを取り出して俺の体に掛けてきた。

 そして体をこちらに向けて膝を差し出してきた。


「どうぞ」


「ありがとう、淡雪」


 遠慮なく膝の上に頭を乗せて、目を伏せて眠気に身を任せる。

 程よい硬さと高さの枕に頭を預け、清潔感のある甘いにおいを感じる。


 すると、意識はゆっくりと闇に沈んでいった。

明日も頑張ります。


もっと甘い空気を作りたい。

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