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4月18日-7

間に合いました。

「厄介ですね」


 ポツリと言った淡雪の言葉が聞こえる。


「何が厄介なんだ?」


「この大きな氷の塊は大きさに比例して高度――というよりも浮力が変わります」


 ちょっと意味が上手く取れなかったので説明を頼む。


「えっと、大きいほど浮かぶということか?」


「はい、詳しい話は省きますが空に浮かぶために使う機関が大規模になるためにより強く空に浮ぶことができます」


 そこでようやく何となくわかった、ここまで大きいので空に飛んでいられるのだ。


 つまり――


「下手に破壊するとこの大きさの氷の塊が落ちるってことか……」


「ええ、しかもこの氷が大きさがあまり変化がないことに気付いていますか?」


 ちょっとしたビルよりも大きい氷の塊のためピンとこない。


 そうしていると淡雪が説明を続ける。


「一辺が二百メートルを超えた氷の塊で、この氷は浮力もそうですが大きい方が冷却力も強くなります」


「おちたら落ちた場所を破壊するだけじゃなくて、成長を始めてまわりを氷で埋め尽くすと?」


 淡雪がはっきりうなずく。


「しかも地面に落ちらた浮かぶために使っている力は冷却力に使用されます、落ちた氷は恐ろしい勢いで増殖をするでしょう」


 恐る恐る聞き返す。


「どれくらいの塊だと対処不能になる?」


「おそらく一辺十メートル、きれいにカットしたらこの目の前にある塊一つで八千個できる計算です」


 しかも他の場所にもあるのだから少し気が遠くなる。


「もっと小さな塊にカットすれば対処しやすくなりますが、小さすぎるとカットした分が補充されていつまでたっても小さくできないです」


「たとえうまく小さくできたとしても――」


 小さくできれば重機で踏んで砕くとかもできるだろうが、大きな問題がある。


「天気が雪で道が最悪(・・・・)ということなんだよなぁ」


 雪が降ってどこかで立ち往生が発生するとあっという間に渋滞が伸び続けて道路を使った移動が一切できなくなる。

 重機を自由に移動させるのは、普通の状況ならまだしも雪が降り続いているいまはどう考えても不可能だ。


「小さくして海に落とす――のはなしか」


「ええ、おそらくこの氷が存在できるのは今日限りなので陸から遠く離れた場所に落とすのも考えましたが、際限なく大きくなり続けてどれくらいの成長速度になるか見当もつかないのでやめた方が良いでしょう」


 海がダメなら、ということで


「火山の火口に落とすとか?」


「確かに日本は火山王国ですし、そこで処理できる可能性はあります」


 ですが、と続けて。


「活発に活動している火山は北海道や九州に集中しています、そしてそのすべてが巨大な氷の塊を処理できるかどうかは微妙です、下手に刺激を与えて活動が再開したら目も当てれません」


「たしかに、大雪に対処するために火山が噴火したら目も当てられないな」


 氷を溶かす方法や、雪への対処を思い出すうちにあることを思いつく。


「塩だ」


「え?」


 思い出すのは道路への積雪を防止するために、雪国では凍結防止剤――ある種の塩化物をばらまくことがあるという話を思い出した。


「凝固点降下を利用して氷を溶かそう」


 すると淡雪はゆっくりと否定する。


「私はやめた方が良いと思います」


 というのも、と言いにくそうな表情で続ける。


「もし大量の塩を用意できたとしても、塩水の雨(・・・・)が降ります」


「あ、そうか」


 どれくらいの濃度の塩水になるかはわからないが、間違いなくたくさんの動植物が死んでしまうだろう。

 それは確かにまずい。


 しかし、その俺の提案に何かアイディアを思いついたのか淡雪が顔を輝かせる。


「ですが、熱以外の手段で氷を処理するのは言い案です」


 おもむろに淡雪は口を開き、その驚くべき方法を口に出した。


==================〇=============


「固定、よし!!」


 淡雪が大急ぎで用意した装置を氷の塊にしっかりと固定した合図を送る。

 見た目的にはホームベース位の大きさをした金属の塊だ。

 それをペグで氷の各部に固定していく。


「行きますよ、山上さん、少し離れてくださいね」


 言われた通りに少し離れる。

 数秒後、


「起動!!」


 淡雪のその合図とともに氷の塊が急激に巨大化した(・・・・・・・・)


 この氷は巨大化(・・・)すると強く浮く(・・・・)


 だから猛烈な勢いで上空に飛び上がっていく。


 その様子を見送りながら口に出す。


「これが最後の一個か」


 淡雪の話では取り付けた装置は氷の巨大化を促す能力と、衛星軌道まで打ち上げるほどの加速を与える能力があるらしい。


「考えてみれば当たり前だったな、水は気圧が低いと沸騰する、だからものすごく気圧が低い場所に捨てればいい」


「ええ、衛星軌道ならずっと地上まで落ちてこない、そして気化――昇華するのでそれほど遠くないうちに消滅するでしょう」


 地上におろすのがダメならいっそ超高空に捨ててしまえという逆転の発想は功を奏した。

 もちろん捨てた軌道は淡雪が絶対に安全と判断した軌道なので問題なしだ。


「さぁ、帰ろうか」


「ええ、さすがにいささか疲れました」


 二人で笑いあいながら地上へと降りて行った。

明日もがんばります。

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