4月18日-5
間に合いました。
電話のあとそれほど時間が経たないうちに一台のセダンが入ってきた。
それはどこか見覚えのある車種で――
「あらー、わざわざこっちが事故らせた車と同じものを用意するとかあてつけがましいねぇ」
少しだけ語気を強めに青木さんは感想を口にした。
なかなか腹に据えかねているようだが、表情にはかけらも出していないのは流石大人だと思う。
車の中から体格がとてもいい男性が出てくる。
青木さんに何事か話しかける。
ネイティブな英語のため聞き取れない。
と思ったら――
「あんたが日本の青木ってやつか?」
強化外骨格の人工頭脳が自動翻訳をかけてくれたらしい。
会話内容が完全に聞こえていると気づいていないのか、青木さんも返す。
「ああ、身元不明の人間を手厚く保護したのだから感謝してほしいものだな」
「ふん、どうだかな、あっちだな」
と言いながら青木さんを伴って建物に向かっていった。
その後、助手席から――
「リーパー……」
「はい、しばらくぶりですね」
ニコリと笑みを浮かべたリーパーが居る。
何度か見たワンピース姿ではなく、濃い色のスーツ姿だ。
一歩距離を取ってしまう。
「すこし傷つきますね」
言葉に反してあまり気にしている様子はない。
そうしていると――
「遅くなりました!!」
と淡雪が駆けつけてくれた。
ついでリーパーを見つけると――
「……用意周到ですね、近くに他の三人も伏せさせていますね」
「まぁ、これくらいはしないとね」
悪戯っぽく笑いながらリーパーは答える。
そして、空を指さして。
「さて、空を見てもらえるかしら」
一瞬罠迷うがゆっくりと空を見ると、ありえない物が見えた――いや降ってきた
「え? 雪」
降ってきたそれは確かに冷たく、雪だ。
それは降り続lく。
見た目だけなら手放しできれいだと思える光景だ。
「今四月なのになんで……」
呆然と漏らす。
すると淡雪が――
「平成一八年は特別に名前が付けられたほどの豪雪が起きた年です……でも、なんで? ほかにも事件や事故もあったはずなのに」
「不思議ですか?」
リーパーは表情を変えずに聞いてきた。
答えると面倒なことになりそうだが、聞き返すことにした。
「ああ、不思議だ」
「三八豪雪……淡雪あなたが先ほど言った特別に名前が付けられた初めての豪雪です」
「……同時に起こしたのか?」
リーパーは静かにうなずいた。
「淡雪!!」
声をかけると――
「日本海側ほぼ全部で降り始めています!! このままだと非常に危険です!!」
同時に耳鳴りがし始めて――
「新元号は平成に閣議決定しました」
聞こえてほしくない知らせが聞こえた。
いつの間にかリーパーは消えていた。
もう伝えることはないということだろう。
「よし、まず何をしようか……」
今すぐ飛び出したい気持ちはある。
しかし、こういう時こそまず考える必要があると痛感しているので淡雪に相談を持ち掛ける。
「雪が降ることがやめばすぐ溶けると思います、そして本格的に積もるまでは時間があります」
見れば確かに降った雪が地面の熱ですぐ溶けている。
ということは問題は視界が悪くなることだろう。
「ただ先ほどからドンドン振る速度が速くなっています、時間はありますがじっくり考える時間はないかもしれません」
淡雪の表情は曇り気味だ。
どれくらいで本格的に積もるかは表情からするとたしかにきわどいところだと思う。
そこで大慌てで青木さんも合流した。
「この雪ってさ――」
「はい、ノスタルジストが降らせ始めました」
青木さんは頭痛を抑えるように額を抑えながら――
「まったく次から次へと常識では考えられないことを……」
空を仰ぐその思いはおそらく俺たちと同じだろうと直感する。
しかしすぐに首を振って頭を切り替えたようだ。
それに合わせて俺が口を開く。
「とにかくこの異常気象を何とかさせましょう」
小さくだが確かにうなずきあって動き始めた。
明日も頑張ります。




