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04/18/2019

間に合いました。

 戻ってきた“リーパー”は開口一番に――


「あ、“ディープスロート”ちょうどいいところに」


「何かしら、“ブラックスミス”の計画のための調達計画を立てるのに忙しのよ、手早くお願い」


 材料さえあればすぐできる。

 と“ブラックスミス”は言っていたけれど、目立たないようにレアメタルを含む材料を集めるのはなかなか難しい。

 すこしだけ悩んでいたところ、“リーパー”はあっさり言い放った。


「ここを引き払いますよ」


「ふぅ……まぁ、覚悟はしていたわ」


 となると調達計画は最初から練り直し。

 そこでわざと大きくため息をつくと――


「全員で固まって行動すると察知されやすいのでそれぞれバラバラのルートで目的地点に移動してもらいます」


「それで、わたしは何をすればいいのかしら?」


 相手は少しだけ苦笑を強めて――


「その道すがら“ブラックスミス”に元々選定していた拠点に寄ってもらって回収してもらいましょう」


「なるほど、使う者が直で探したほうが効率がいいわけね」


「そういうことです」


 通信で座標が送られてきた。

 どうやらここで落ち合うらしい。


 元々引き払うつもりの拠点だったので破棄しても良いものしか基本的に置かれていないのでわたしは手荷物だけで拠点を離れることになる。

 空を飛んではなおさら目立つので普通の交通機関を使う事になっている。

 車庫に向かうと白い軽自動車、黒いセダン、白いワゴン、赤いツアラーが止められている。

 そのなかで黒いセダンに乗り込んで発進させた。


==================〇=============


 このあたりの地図はダウンロード済みなので昼を少し超えたあたり、静かな林の中の道を進む。

 人間ならば気持ちよさを感じるような状況だろう。


「さて、あとどれくらいかしらね?」


 といったとき、向こうから一台の白黒の車――パトカーが向かってくる。

 脇へ寄ったとき――


やっぱりね(・・・・・)


 こちらに向かってハンドルを切った。

 運転席は無人だ。


 よけようがないので真正面から激突し、エアバックで視界がふさがる。


「もぅ、強引ね」


 つぶやきながらドアを超音波メスの要領で素手で切り裂きながら表に出る。


 片側一車線の道路で両側が小高くなりそこが林になっている。

 また道も緩やかな下り坂から登りに切り替わる場所だ。

 視線が通らず不利な状況――


「普通の人間なら、ね」


 音を扱うわたしならば、視覚より聴覚、また――


見えた(きこえた)わよ」


 両手から人間の可聴域を超えた超音波を常に発信し、それを聞き分けることで全周囲の配置を見抜く。

 装備からするとSATのようだ。

 自衛隊より警察とのパイプが強いのでそのためでしょう。


 同時にそれぞれの位置に位相を調整した音波を送り、局所的に共振させた波を発生させる。

 その人間の脳内でジェットエンジン以上の爆音が発生し、良くて気絶、最悪脳を破壊され即死だ。


「ふふ、静かねぇ」


 干渉しあったときのみ発生させるよう調整したので、超音波が聞こえる動物が倒れたこと以外は物音ひとつしない。


「さて、ここまで移動した足があるはずですから――」


 と言って脇の一段高くなった場所を登ったら――


「てぇーっ!!」


 銃声が響き頭を胴体を中心に銃弾が撃ち込まれた。


「は!?」


 痛みよりも疑問の方が大きい。


「な、んで!?」


 無理やり抜けるのは不可能ではないが手を焼くのでたまらず下がって、車の残骸を遮蔽に取る。


 再度超音波による位置の特定を行おうとしてようやく気付く。


「あ、重いガス(・・・・)


 音の伝わり方は媒体の状況によって変わる、空気ではなく比較的重いガスが混ぜられていたら音の伝わり方が変化して正確な位置の特定や、位相の合わせた音波によるピンポイント攻撃もできない。


「本格的な罠ね」


 おそらく準備を行ったのは淡雪だろう。


 ハッキングを行っていない理由は――


「音波による無差別攻撃を警戒してというわけね」


 ハッキングを行い拘束されかかったときに後先考えない攻撃を行えば少なくない被害が出る。

 それだたったら攻撃と拘束をSATに任せるというのは理解できる考えだ。


「ふふ、吐き気がするほど甘い考えだこと」


 純粋な戦闘力は“ウォーモンガー”どころか“ブラックスミス”にも劣るのがわたしだ。

 それでも素手で人の首くらいはねじ切れるし――


「知っていて? 超音波を使用すればこういうこともできるのよ」


 二台の車からガソリンを球形にして浮かべる。

 手の平の上にしか作れないが、それでも十分。


「さて、人間は火に巻かれると死ぬのでしょう?」


 ガソリンの球にそのあたりにある砂を混ぜて超音波で激しく振動させて発火させ、居ると思われる場所に向けて発射する。

 着弾した場所で燃え広がる。


「ふふ、悲鳴が聞こえますね」


 しっかり燃え広がるまで待って今度こそ確認にいく。

 火にあぶられ私にも多少損傷が入り始めるが許容範囲だ。

 服の事を心配しながら上がると――


「もう一回!!」


 五体満足のSAT部隊が待ち構えていた。


「は!?」


 複数人からの銃撃はこちらの体をずたずたに引き裂いていく。


「な、んで」


 よく見ると火はSAT部隊が待っていた部分の手前で止まっている。

 すると奥から淡雪が出てきた。


「音がダメなら、ガソリンによる火責めをするのは予想ができたので対処させてもらいました」


「どうやって?」


 再生が遅々として進まない。

 自爆しようにも淡雪によって止められるだろう。

 それにそもそもここまで体が損傷しては満足な範囲を破壊できない。


「ものが燃える三条件は燃料と熱と酸素です、だからこっちは“ディープスロート”あなたがやったように液体窒素を球状にして危ないガソリンの球だけを迎撃しました」


 悲鳴は演技だったのでしょう。

 話している間に動きをロックされる。


「油断せずに探ればよかったのね」


「そうですね、そうしたらもう少しだけ長く戦っていたでしょう」


 その口調は、それでも勝つ、という意味が含まれていることに気付き。


「やられたわね」


 もう何もできず拘束されてしまった。

明日も頑張ります。

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