4月18日-3
何とか間に合いました。
リーパーが去った後、スマートホンを取り出すと――
「やっとつながりました、あと少しで着きます!!」
と言っている間に誰かが降りてきた。
「早い到着だな」
「急ぎましたから――と遅かったようですね」
リーパーがもういないことを確認して、淡雪は少し落ち込んだ様子だ。
しかしすぐに顔を上げて――
「追いかけます!!」
と言ってドローンをコントロールする端末――レンズを取り出した。
それを素早く操作しながら。
「逃げた方向が……」
とつぶやきながらじっと見つめて――
「補足しました!!」
「えっと、淡雪?」
すると不思議そうに小首をかしげながら。
「なんですか?」
「いままで全然足取りをつかめてなかったのに急に見つけたのはなぜかって思って」
手は素早く操作をしながら、顔はこちらに向けて説明を始める。
「今まではどこを中心に捜索をすればいいかがわからなかったからですね、今回は向かった方向がはっきりしていますので」
「……罠の気がするな」
ポツリと言うと淡雪の表情が固まる。
いままでろくに足取りがつかめなかった相手がここにきて急にここまであからさまに足取りが追えるようになるのはどう考えてもおかしな話だ。
そこでリーパーが話に来た内容を伝える。
と、淡雪は非常に渋い顔をする。
「困ったことに意図が全く読めません」
「だよなぁ」
俺たちがどこまで相手の行動を推測しているのかを確かめに来た。
というのは確かに本当の部分があると思う。
しかし、このあからさまに足取りを追わせて罠に利用するというのもありえそうだと思う。
「とりあえず青木さんに連絡して足取りはつかめたかもしれないということを報告した方がいいかもな」
「そう……ですね、こちらの勝っている点は人手を借りることができるということですからね」
うなずいて同意する。
それに俺たちではわからなくとも大人である青木さんならなにかアイディアがあるかもしれないからだ。
==================〇=============
「ああ、なるほどねー」
俺たちの報告を受けて青木さんは一つうなずいた。
「今まで何度もしてやられたから気になるわけだね」
素直にうなずくと――
「気にせずおいかければいいよ」
「はい? 何故ですか? 罠かもしれないんですよ?」
電話の向こうから気軽な調子で返事を返してきた。
「追いかけてるのは間違いなくリーパーなんだよね?」
「あ、はい、偽装された情報ではないです」
うんうん。
と青木さんはわざわざ口で言って、
「目立つ行動をするっていうのは大まかに二つの目的がある」
軽く咳払いをして――
「一つはどこかに誘い込みたいから、もう一つが何かから注意をそらしたいからだね」
「誘い込む事と、そらす事ですか?」
もちろんその両方の時もあるけどねー。
と軽い口調で続けながら。
「そ、目立つ行動をする相手には注意が引かれる、つまりそれ以外への注意がおろそかになる、当たり前だけどね」
「今回はどっちかはわからないけど、せっかくつかんだ足取りなんだから罠だろうと陽動だろうと何が何でもおおいかけないといけない、罠が怖くて無視をするのは論外だよ」
そこでいったん青木さんは言葉を切って。
「僕もそうだけど、物事を難しく考えるとタイミングを逃すときが多い、ぱっと見難しそうだったり不安だったとしても目的、それも本当に行うべき目的を定めるとずっとシンプルになる」
一拍だけ時間を取った後で。
「今一番するべきことは罠を避けることじゃなくて、相手の拠点を見つけることだと僕は思うけど違う?」
確かにそうだ。
と納得できた。
いままで後手に回ってかき回され続けたから腰が引けていたが、やらないといけないのだ。
「そう、ですね、では青木さん、これから本格的においかけます」
「ん、こっちは協力をお願いできそうな人にお願いしておくからがんばってね」
その言葉に淡雪もうなずいた。
「一応言っておくけど、陽動の可能性も高いからできるだけ視野は広くね」
「難しいですね……」
青木さんは苦笑と共に、
「本気で、真剣にやるのは必要だけど全力をつぎ込むなってこと、二人いるんだから二人で同じことするとかはやめよーねくらいだよ」
「はぁ」
最後は少ししまらないが、淡雪がもう出ていたので慌てて追いかけて、追跡が始まった。
明日も頑張ります。




