4月17日-2
間に合いました。
「伊勢湾台風?」
思わず聞き返す。
聞き覚えが有るような無いような単語だ。
不思議に思っていると青木さんが説明を続ける。
「昭和に起きた自然災害なんだけど、阪神淡路大震災までは戦後最大の犠牲者を出した自然災害でね」
と言っていつもと同じ口調で続けるが、あまりに淡々としている。
「死者と行方不明者をあわせて5000人を超える大災害、自然災害の対策マニュアルの改訂や天気予報への研究開発が国家規模で進められたほどの衝撃があったんだよね」
富士山レーダーってそのために作られたらしいよ。
とかなり軽いがその内容は重い。
「進路、そして勢力は一致してるんだよね」
と言って一つのファイルを差し出してくる。
その中には言われた通り伊勢湾台風の進路などが記されているが確かに一致している。
「でも、昭和なんだよねぇ」
ぽつりと漏らす。
確かに今までは平成の事件や災害・事故ばかりだった。
一致するとはいえいきなり昭和というのはパターンから外れている。
「ま、とにかく情報は詰めてみるよ、僕はもちょっとここで用事があるから」
「よろしくお願いします」
俺も慌てて頭を下げる。
その様子に苦笑して青木さんは出て行った。
「それにしても昭和か」
生まれる前の話となるとピンとこないというより、異世界の話のような気がする。
「可能性はどれくらいあると思う?」
何となくの質問を投げかけると、じっと考え込んでいる。
「正直なところ見当もつきません」
そこで一度言葉を切って、一言ずつ確かめるように話す。
「よくよく考えればノスタルジストが平成の事件を起こしている理由もわかっていないのですから」
「確かに」
とにかく目の前の人を助けたいで動いていただけではっきりと向こうの思惑などを探ったわけではないのは確かだ。
「とりあえず、元アジトだった場所から資料等を回収し終わったそうなので一旦針山さんのところへ行きませんか?」
「確かに、一度戻ろうか」
とりあえず目の前の目的が決まったのでこの場所を引き払うことにした。
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戻ってみると険しい顔をした人たちがうなりながら作業をしている。
その表情からするとうまくいっていない様子だ。
「えっとどのような感じでしょうか?」
控えめに淡雪が尋ねると、それぞれが顔を見合わせるが――
首を横に振り、軽く両手を挙げている。
「私の出番ですね」
と、言うが早いか近くのパソコンに向かい――
「おぉ!!」
小さいが確かな感嘆の声が上がる。
そしてにわかに活気づく。
どうやら厄介なロックをすべて解除したらしい。
「ウィルスの類も排除したので大丈夫です」
この手の事には――にも頼もしいな。
と思いながら隅の椅子に座る。
すると、コーヒーが入った紙コップを渡される。
一口飲むと甘ったるい一歩手前までミルクと砂糖が入っている。
「疲れがきてるとな、これが効くんだよ」
「はぁ」
ぼんやりと返事をすると、相槌ととったのかさらに続けている。
「コーヒーはブラックとか言っている奴がいるが、俺からしたら人生損をしてるなコーヒーの飲み方に定型なんてねーんだ」
周りの人は、またか、という顔をして少しずつ距離を取っている。
コーヒーにはこだわりがあるらしい。
正直なところこの場においてはできることはほとんどないので話しかけられることで助かっているのでじっくり話を聞くことにした。
明日は頑張りたいです。
(旅行に行くので明日明後日と微妙なのです。)




