4月16日-8
間に合いました。
嵐の巨人は一目散に北上している。
スピード自体は俺たちに比べたらそこまで速くはないので早々に追い付くことができた。
いつも通り抱き上げた淡雪が日本にいる青木さんに連絡を取っている。
「バッサリ斬られたって大丈夫?」
「強化外骨格のサポートで目も左腕も使えます」
心配そうに話しかけてきたので戦うことには支障がないことを伝える。
すると青木さんはため息交じりに――
「そういうことじゃないんだけどな、ともかく今は排除することだけかんがえてね」
「はい」
その間も何かを調べていた淡雪がポツリと漏らしてくる。
「気圧がかなり低いですね」
「どれくらい?」
少しだけひきつった声で続ける。
「は、895ヘクトパスカルです」
ピンとこなかったのでどれくらいなのか目安を聞こうとしたら――
「900割るってとてつもないなぁ」
「えっとどれくらいですか?」
「台風の予報でヘクトパスカルという単位を聞くとおもうけど、大雑把にこれが台風の強さだけど、去年大きな被害を出した台風が上陸したときが950ヘクトパスカルね」
背筋が凍る。
それを越える被害が出る台風が全力で日本に向かっている。
「い、いますぐ何とかしないと」
「それはそうなんですが、もうかなりしっかりした存在になっていて体当たり程度じゃ散らすことができなくなってます」
「……どうしよう」
弱点があればいいが、なかったらお手上げに近い。
「方法はないことはないですが……」
「何をすればいい?」
「人型にまとめているものがあるはずですので、それを破壊します」
言葉にすればあっけないと思えるものだ。
だがあまり勧められない理由があるはずだ。
「外からは観測できないので暴風雨が渦巻く巨人の中に入らないといけないのです」
「厳しい……」
ええ。
と淡雪がうなずき続ける。
「動き回る巨人の中で、飛び出ないように注しないといけません、おそらく中は上下左右がわからなくなるくらいめちゃくちゃにされるでしょう」
「でも――」
加速する。
「ええ、やるしかないのです」
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淡雪は外部で待機してもらい、俺が巨人の中から飛び出てしまわないように基準点となってもらう。
「ではお願いします」
「よし!!」
全力日本に向かっている巨人の後頭部を狙って突入する。
その瞬間――
「あっくそ!!」
きりもみ回転させられた。
バック転したようにも側転したようにも思われる。
「山上さん、まずこっち向いてください」
と、視界の端に矢印が浮かぶ。
しかしそれはでたらめな方向を示す。
いや、それは――
「俺がめちゃくちゃな方向を向いているんだ」
このままでは方向が全く分からずに運任せになる。
と、淡雪から連絡が入る。
「山上さん、独楽のように回転してください、それもできるだけ早く」
打つ手がないので言われたように全力で回転する。
両腕を広げとにかく無心で回転する。
すると――
「あれ?」
段々だが方向が安定してきたがする。
不思議に思っていると。
「その状態なら大丈夫ですね」
「なんとかな」
巨人の体内で洗濯機にでもかけられたようにでたらめにかき混ぜられているが、淡雪の助言おかげでなんとかなりそうだ。
矢印の方向にできるだけ頭を向けて、飛び込む。
それを何度行っただだろうか?
「わかりました!!」
同時に赤いマーカーが浮かぶ。
それは人体で言うなら眼球にある。
「……台風の目? ということか?」
そんなことを思いながら、鞘から剣を抜き打ち、ソレを断ち切った。
ゆっくりと巨人は崩れてゆき、そこで気づいた。
「いつの間に日本に上陸していたんだ?」
視界には険しい稜線が写る。
「少し前ですね」
「被害は!?」
そこは青木さんが引き継いだ。
「最低限だった、とだけ知っていればいいですよ」
「それは――」
何かを言おうとして言葉に詰まってしまう。
「ともかくお疲れ、後のことはまた後で話そう」
「そう――で 」
不意に久しぶりの感覚が来る。
気絶する前兆だ。
大方のことは終わったのでそのまま意識を手放すことにした。
明日も頑張ります。




