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4月16日-6

間に合いました。

 赤道付近の台風が生まれた場所へと向かう。

 その間に淡雪に調べ物をしてもらっている。


「さて山上さん、平成十六年は台風だけでも十個、震度五以上の地震だけでも十回、そして火山の噴火と本当に災害が多かった年になります」


「その時はまだ小さかったから全然覚えてないな」


「その時の話には興味がありますが、ともかく今のところなぜか反応は台風のみです」


 確かに妙な話だと感じる。


「まず台風、そして地震という風にやるのかもしれないな」


「確かにその可能性はありますが、理由があるはずなのですが……」


 淡雪は考え込むが判断材料が多くないのかすぐに別の話に移る。


「問題は『グレイゴースト』のように巨大な存在だった場合ですね」


「まぁな、こんな大きさの剣なんて爪楊枝にもならなかったし」


 今にして思うのがグレイゴーストの規格外さだ。

 強いということもそうだが、なによりも――


「元になった出来事って何なんだ?」


「そう……なんですよね」


 何度調べても平成十年にあのレベルの化け物が出てくるような出来事はなかった。

 災害も考えられるが、阪神淡路大震災を超えているというのは納得しづらい。


「なにか見落としがあるのかも……」


「それはそうですね……」


 そしてもう一つはグレイゴーストだけではないが――


「それなりあった予兆なしに現れたノスタルジストの化け物たちも、グレイゴーストから始まってまた急に始まった気がする」


「……人為的に出てきた物かどうかということでしょうか?」


 たしかに考えてみれば最近の化け物たちは安逹と橘がかかわっている。

 もしそうだとすると恐ろしい想像が湧く。


「グレイゴーストクラスの化け物がまた出てくる、それも複数体で」


「そ、それは……想像もしたくない事態ですね」


 すると目的とする場所が見えてきた。

 天を衝くような巨人がゆらゆらと立ちあがり始めているように見える。


「あれ、か」


「そうですね、いま、この段階ならそれこそ体当たりで破壊していけると思います」


「よし!!」


「わたしも手伝います。」


 と言って二手に別れる。

 あんなに大きな的だ、外すわけがないのでとにかく加速し続けて――


「それはすこーし困りますね」


 は?


 という思考しか浮かばない間に進路が大きく曲がり海面に叩きつけられた。


「や、山上さん!!」


「おいおい、あんたの相手はあたしだよ」


 通信に割り込まれる。

 そして淡雪に赤い何かがぶつかっていったのが見える。


 突然現れた二人それは――


「なんでリーパーとウォーモンガーの二人が!?」


「戦力の出し惜しみはよくないでしょう? 時間と場所を選びそこに集中させる、戦術の基本ですよ」


 それに、

 と落ち着いた柔らかな声でその先を続ける。


「誰が二人だけ(・・・・)と言いました?」


 は?


「くすくす、ぼうや、かわいいわねぇ」


 と言ってこちらの頭を手で挟んできた女性が現れる。

 ゆるくウェーブした髪をしており、色気過剰な顔立ちをしている。


「ほーら、バーン」


 という軽い掛け声とともに轟音が耳元からなる

 もはや殴られたような衝撃を受けて一瞬意識が飛び掛ける。


「ご挨拶は受け取っていただけたかしら? “ディープスロート”のあつぅい愛のこ・と・ば」


「山上さん!!」


「不許可 だめだめ “ナード”がゆるさない」


 という割り込み音声の後に淡雪が意識を失ったように自由落下し始める。

 その瞬間に淡雪がいた空間には、真っ白い髪を二つに分けたおさげにした背の小さいやつがいる。

 肌は日光を一度も浴びたことがないほど病的に白い。


「くっ!! 淡雪!!」


 無理やり持ち直し、落ちてゆく淡雪を受け止めようとして――


「はい!! アウト!!」


 黒髪をポニーテールにした同年代の少女が現れて、手元にはクジラを撃ち殺せそうなほど巨大な砲を抱えている。

 そこから砲弾が発射され――


「くっ!!」


 衝撃こそ入ったが痛みはない。

 しかしその運動エネルギーは淡雪から離れさせられた。


 そのまま淡雪は海面に叩きつけられた。


 砲を撃った少女は目をキラキラさせて。


「この僕、“ブラックスミス”の攻撃でも傷もつかないってすっご」


 奥では天を衝く巨人が立ち上がり、一部は体の動きを確かめるようなしぐさをしている。


 いきなりの状況に脳が事態を理解することを半ば放棄しかけるが、一つだけわかることがある。


「絶体絶命か」


 その言葉を口に出して、覚悟を決めた。

明日も頑張ります。

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