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20190416

なんとか間に合いました。

 山上君と淡雪ちゃんへの連絡も終えたので二人と関わっているもう一人の公僕に会いに行く。

 その途中の街空気はかなりおかしくなっている。


 立て続けに起きている異常な現象にみんなが苛立っているように感じる。

 大多数は毎日のやるべきことに追われて押し隠しているけど、一部では終末論をぶち上げているカルトが目立ってきている。


「なーにが天からの罰なんだか」


 つい吐き捨ててしまう。

 そこで頭を振ってその考えを追い出す。

 感情的にならず、一歩引いて考えて判断する。

 そのような人間でないと国の裏にさわれる立場にいることなどできない。


「さーて頑張ってくれよ、お二人さん」


 といってようやくいつものノリになったのを確認する。

 針山警部のいる警察署についたので手回しはすんでいるので顔パスで乗り込む。


「針山警部はいるかな~?」


「帰れ、部外者!!」


 徹頭徹尾胡散臭く軽薄な人間を演出しているのでその反応は慣れたのものなのでスルーして。

 針山警部の後ろまで歩く。


「で、どんな状況なのさ、ノスタルジストの五人組の潜伏場所を見張ってるんでしょ、教えてよ」


「はっ、そっちでも見張ってるはずだろう?」


 無駄なことはしない主義だから張ってないんだけど、使える誤解だと思うので針山警部が食いつく情報を出すことにした。


「ここ最近の事件でさ、明らかにおかしいことあるよね、それの答えのヒントを上げちゃうよ」


「なんの事だろうな」


 そっけない言い方だが感づいているはず。

 だからあっさりと答え合わせをする。


「在日米軍だよ、それの動きが全然出てこないよね」


「あっちはアメリカさんだからな、日本の事は気にしないんじゃねーの」


 世界有数の通信施設は表沙汰にできない、ということを加味しても全く動きがないのは異常だ。

 それに一時期海上に巨大な化け物がいた時もずっとだんまりだった。

 これはどう考えてもおかしい。


「聞かないとまずいことになるかもね」


「……」


 口をつぐんでじっとこちらを見ている。


 いつの間にか周りの職員もこっちを注目している。


 先に均衡を破ったのは向こうだった。


「相手が米軍にわたりをつけていたのは察しているぞ、さすがにな」


「なるほどなるほど」


 二度うなづいて、もったいぶらずに言い切ることにした。

 こういうことは焦らすのは得策じゃない、


米軍は動かない(・・・・・・・)、どう? これは値千金の情報だよね」


「どうだかな」


 と言いつつ針山警部は考え込んでいる。


「今のところそれらしき五人組はどの場所にも出ていない」


 そしてしばらく考え込んでいる。

 だからあえて先の言葉を促す。


それだけなんだ(・・・・・・・)


「とりあえずこいつが交渉役だったらしい」


 といって、一つのファイルを渡してくる。

 そこには個人情報が書かれており、最初のページには明らかにどこかの監視カメラから切り取ったと思われる横顔の写真が挟まれている。

 肉感的な外見をしていると荒い画像からでも見て取れる。


「ウィリアナ・マーク・フェルトねぇ」


 そう名前が記されており、略歴が書かれているが――


「これ多分偽装だよね」


「十中八九な、信じられるのは最近アメリカ大使館に出入りし始めたってことぐらいだな、あと出所不明の莫大な資金を持っている」


 そこまで聞いて納得した振りをして――


「出所を割っていないはずがないでしょ?」


「……これを知ってやがるな」


「どうだろうね」


 シラを切りながらある紙片を受け取る。

 そこには目を持つピラミッドのマークがある。

 針山警部に視線を向けると無言でライターと缶ビールほどの携帯灰皿を差し出してくる。


「なるほどね」


 ライターで火をつけ、携帯灰皿に入れて灰になるまで確認してそのあと二つとも返す。


「関係性まではわからん、でも絡んでいるのは確かだ」


「なるほどね」


 色々裏が取れたので十分すぎるほど収穫はあった。


「たまに思うんだけど、君なにものなのさ」


「ふん、それを調べるのもあんたらの仕事だろう」


 その通りなんだろうけど聞けるなら聞いた方が手間がかからないからそっちが良いんだけど。

 などと思いながら連絡が入るのを待つ。


 ところが結構待っているのに入ってこない。


「なぁんか嫌な予感しない?」


「奇遇だなこっちもだよ」


 何かとてつもないことを見落としいる。

 そんなことを考えながら――


「次の潜伏場所に先回りされていると勘づいて避けているのかな?」


「可能性は0じゃねーが……」


 しばらくそこで考え込み。


「考えづらい、急いで用意した潜伏場所なんてあぶねーものはないぞ」


「だよねー、となると張られることを考えて遠くに向かってるのかも、山上君たちクラスの機動力ならどこかの山奥からでも問題ないだろうしね」


「くっそ!! はめられたか!!」


 だが、そこで次の命令を出す。


「その潜伏場所の見張りは続けておけ、逃げられた確証がない限りだ、手が空いてるやつは長距離移動している可能性を考えて情報を洗い出しに行くぞ」


 こっちもやることができたようなのでこの場を離れることにした。


「いやぁ、本当に相手は勘が良いのか、それとも――」


 その先は考えないことにした。

 内通者がいる(・・・・・・)

 そんな考えは足をすくわれかねないからだ。

明日もがんばります。

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