4月16日-5
何度か寝落ちしそうでしたが、何とか間に合いました。
「新元号は平成に閣議決定しました」
その瞬間淡雪に視線を向けると、はっきりとうなずいた。
すると針山さんは怪訝そうな目を向けてくる。
「どうしたんだ?」
「ノスタルジストの化け物が出ました」
「ち、よほど勘のいい奴がいるらしいな」
と苦虫を噛み潰したような表情をする。
「場所は――」
といったあたりで着信がある。
相手は青木さんだ。
「どーも、お二人さん」
「このタイミングということは」
「そういうこと、異常事態だね」
軽い口調だがかなり切迫した状況のようだ。
「さーて、ちょっと話は変わるけど平成十六年の漢字ってなにかわかるかな?」
「えっと」
言葉に詰まっていると、すぐに帰ってきた。
「災だよ、その名の通りこの年は災害が多くてさ、で」
といって一呼吸分時間をとって。
「多分その災害が全部一気におきかけているね」
「は!?」
「はい、いま調べたところ複数の台風が生まれて一直線に日本に向かっています」
頭の中が真っ白になる。
災害を引き起こしている存在がいるならそれを倒せばいいのだが――
「クリーチャーについては未確認です、ただいないとおかしいのは確かです」
「ではそれの迎撃をお願いしたいけど――」
その先は針山さんが引き継いだ。
「そーすっと潜伏場所に入った連中をだれがどうするって話になるんだよな」
できたら見つけた後すぐ、準備が整う前に踏み込みたい。
となると――
「二手に別れましょう、災害を引き起こすクリーチャーを叩きに向かうのと、逃げた五人を確保しに行くのとで」
「となると、俺が災害側に向かった方が良いかもな、前回みたいに一方的にやられるだろうし」
前に話していた対処法も二人で一緒にというのが前提なので出来ない。
戦闘役のウォーモンガーを抑えられるかどうかは謎だが――
「淡雪は五人相手に立ち回る自信はある?」
「ないです、ですから作戦はこれから考えますが、何とかします」
そこまで話していると青木さんから話が出てくる。
「あのさ、二人で向かうって手はないのかい?」
「どういうことですか?」
電話の向こうからどこか軽薄な感じを受ける声で、
「台風が上陸した瞬間人が死ぬわけじゃない、だったら二人がかりでまず相手を制圧、その後台風に対処というのも十分あり得る道だけど」
その後に続く言葉は、どうする?
だろうか。
言われてみれば確かにそうだ。
だから――
「淡雪? 相談があるんだけど」
「OKですよ」
軽く口の端に笑みを浮かべている。
すべてわかっているとでも言いたげだ。
「何も言ってないんだけど?」
「わかりますよ、まず二人で台風を対処してから、ということでしょ?」
こういう時に話が早いのが淡雪のすごいところだと思う。
だから俺もしっかりとうなずく。
「あ、あれぇ?」
青木さんが困惑している。
なかなか聞けない声に二人で小さくだが吹き出す。
「いや確かに被害を抑えるならそっちの方が先だろうけど、なんで?」
心底不思議そうな声で質問をしてきた。
だからこちらははっきりといい切る。
「倒れた家は書類の上ではたくさんある内のたったの一つですが、それを少しでも減らしたい、それに街中で大暴れするならもっと前からできると思うので、直近の危機はないと思ったからです」
「ふぅん、なるほどはやくに頼むよ。」
という返事を聞き届け、淡雪を抱き上げながら衛星とのデータリンクを開始して、空へと向かった。
明日も頑張ります。




