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4月16日-2

何とか間に合いました。

 深夜に戻るのは流石に問題があるので、幸次さんに留守電を入れようと電話をしたら。


「奥谷か?」


「あ、起こしましたか?」


 電話の向こうで幸次さんが軽く笑ったのが聞こえる。


「いや、起きてた、それに明け方に地面に埋まってるって連絡を入れただろ? 心配するなとは言ってたが、な」


「すいません、ついさっき淡雪に掘り出してもらったころで」


「淡雪? ああ、なるほど以前に紹介してもらった、じゃあ家に連れてこい今までの礼をしたい、多分飯食ってないだろう?」


 淡雪の方を見ると、何事か端末をいじっている。


「とりあえず誘ってみますね」


「おぅ、頼む、いつ頃戻れそうだ?」


 移動時間も含めて30分ほどだろう。


「あと30分ほどですね」


「わかった、たのむぞ」


 といって通話を終える。


「淡雪、この後時間ある? 幸次さんがお礼がしたいってさ」


「わかりました、よろしくお願いします」


 その後、淡雪が思い出したように。


「あ、そうです、ちょっと準備があるのでホテルに戻らせてもらっていいですか?」


「ああ、いいぞ」


「では早速向かいましょう」


================〇===============


 ホテルの部屋の前で待つよう言われて数分後。


「終わりましたよ」


「わか――」


 そこで言葉を失った。

 今までは背が大分小さかったのに、いまは以前の背の高さに戻っている。


「一体何が起きた?」


「いやー、ようやく以前の大きさまで治ったのですけど、なかなかこの大きさに戻すタイミングがなくて」


 と照れるようなしぐさで話してきた。


 格好は淡い色合いの薄手のカーディガンにカットソーと少し長めのチェック柄のスカートを着ている。


「小さいときは小さいときのお洒落ができそうだったのですが、あの姿だとさすがに驚くでしょうしね」


「じゃあ、行こうか」


「はい、わかりました」


================〇===============


 そして、家で幸次さん手製の料理――もう夜食というにも遅すぎる時間だが結構な量を用意してもらっていた。


「それにしても奥谷はもうすっかり夜型だな」


 幸次さんは苦笑しながら話しかけてくる。

 淡雪は黙々と食べてる。


「まぁ、あっちこっちへ行ってますからね」


「無事に帰ってきてくれてるからいい、あとはちゃんと勉強しろ」


 多少は口数が増えて、肩の力が程よく抜けた会話が続く。

 その間も口を動かし続ける淡雪。


「なぁ? 奥谷?」


「淡雪はいつもこんな感じだよ」


 幸次さんは信じられないものを見たように目を向けるが、それに淡雪は会釈で返した。


「まぁ、俺はもう寝る、明日――もうとっくの昔に今日か、ともかく朝に響かないようにな」


 と残して寝室に消えた。

 俺もそこそこ空腹だったので料理に手を付け始める。


 しばらく静かな食事が続いて。


「ご馳走様でした」


 と二人でほぼ同時に終える。


「で、これからの話だけど――」


「あの二人――いえ、もっといますね」


 と、いきなり新情報が出た。

 疑問に思いながら聞き返す。


「その理由は?」


「通信がつながらなかったですよね? あの時に妨害されていたのです」


 言われみれば、あのとき連絡がつながらなかった理由が納得できる。

 相手は三人以上いるのだ。


「おそらくですが、あの場にいた二人いがいに少なくとも二人仲間がいると思います」


「なぜ?」


 こちらの疑問に淡雪は小さくうなずいて答える。


「同時に複数方面から攻撃を受けたので、しかもAIではない存在ですね」


「なるほど」


 となるとここにきて化け物以外の勢力が出てきた。

 いや、[  ]も含めて今までは事故や災害みたいなものだった、これからは昨日のように計画的に襲撃を受ける可能性がある。


「ひと段落すらつけれずに次の問題か……」


「うまくいき続けることなんてまずないですから、先を見据えた行動とまずするべきことをクリアしていかなくちゃだめですよ、なんども繰り返しますが」


「確かにな、なんどその言葉を聞いたっけな?」


 その言葉にクスクスと淡雪は笑う。


「ただ幸いなことに多分正面から戦うなら私たちの方が若干有利だと思います」


「え?」


 こちらはほぼ一方的にやられたうえでのその発言は流石に耳を疑った。


 その疑問を感じ取ったのか淡雪は指折り数えるようにして話始める。


「まず通信の遮断ですが、やってきた相手がどこからアクセスしてきたかはもう判明しています」


「相変わらず早いな」


 小さくうなずいて続ける。


「罠の可能性もありますが、だったらあまりにも迂遠な方法だと思いませんか? 攻撃して防御するふりをして必要な偽情報だけをつかませるって」


「まぁ、それはそうかもしれないな」


 そして、と淡雪はつなげる。


「名前からするに“ウォーモンガー”はあての集団では戦闘力の最強格でしょう、その相手から痛打は喰らいましたか?」


 確かに思い返してみたら、相手の武器はあっさり破壊できたし、最大火力と思われる攻撃も余裕で耐えきった。


「たしかに、埋められたがダメージは喰らってなかったな」


「でしょう? つまりまっすぐぶつかり合えるなら勝機は決して低くはないです」


「……なるほど」


 淡雪に視線を向けて。


「いつ行う?」


「遅くとも今日中には行うつもりです」


「わかった、寝る時間はまだあるなら少しでも寝て体力を回復させる」


 微かだが淡雪は微笑んで――


「ええ、頑張りましょう」

明日も頑張ります。

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