4月15日-5
体調がよくなくて短いです。
「見つけられなかった理由がわかったな」
追いかけたら見つけたという都合がよすぎる状況。
しかし、その疑問は今は飲み込むべき状況だ。
そしてわかったことは一つ。
そこに居るのはわかるが、顔が見えない。
おそらく安逹だと認識できていないのだ。
「これは流石に普通にやっていたら見つけることはできなかったですね」
でも。
と淡雪は続ける。
「長く存在できない」
「ああ」
見ていればわかる、輪郭がどんどんぼやけて崩れている。
迷彩などとは次元が違う、水に入れた角砂糖が溶けているようだ。
「どんどん情報が減っていますね」
「詳しい話はあとで聞くけど、えーと安逹か、をどうすればいい?」
淡雪はゆっくりと首を横に振る。
「誰からも忘れられ始めています、そしてそれはまた聞きや文章で知っても意味がないです」
非情ともいえる内容を淡雪は言い切った。
「事実山上さんは実感がなくなっていませんか?」
「……」
言われてみれば安逹の顔が薄くしか思い浮かばず、声すらよく思い出せない。
「まずい」
と言いようのない焦燥感が湧いてくる。
「とにかく急ぎましょう」
「そうだな」
と覚悟を決めて踏み出した。
その瞬間、増えた。
「は!?」
その虚を突かれ組み付かれてしまった。
だから、迷いを振り切って全員を切り捨てた。
「なんで増えた!?」
「誰でもないから人数すら決まってないのだと思います」
「なんでもありだな」
悪態をつきさらに近づく。
「山上さん!! 橘さんがきっとカギです」
「わかってる!!」
切り捨てたその一瞬だけ視線を外した。
その一瞬で見失った。
目印になっていた橘を連れてどこかに移動したようだ。
遠くにはいっていないだろう。
だから、強化外骨格のシステムにある物を使用させる。
電子音が虚空のように見える場所から響いた。
「そこ!!」
今度こそ手ごたえがあった。
するとようやく気付けた。
橘は増殖した『ダレカ』に囲まれていたのだ。
橘は呆然とした様子で片手に着信中のスマートホンを持っている。
半ば以上賭けだが、近づいたら電話がつながった。
「―――」
『ダレカ』が叫んでいる。
が、それを意味のある言葉として認識できていない、
コマ落としのような動きで攻撃を仕掛けている。
だから視線を地面に向ける。
見えなかったとしてもひとつだけわかる物がある。
足音だ。
だから鞘に納めたままの剣の柄に添えるような構えを取り続ける。
「ここっ!!」
確かに踏んだ。
そこを狙って居合をするように切り裂いた。
明日も頑張ります。




