4月15日-2
すいません。
体調芳しくなくここまでです。
少し悩むが思いついたことがある。
「お姉さんが探しているということを伝えるとか?」
「ありですが、お姉さんの方も危険な方だったら……」
あそこまで必死に探していたのでないと信じたいが、切羽詰まった理由があるから必死に探していたという見方もできないわけではない。
人を善悪で測るのはよくないことだが疑ってしまう。
「と、とりあえず言ってみるだけ言ってみよう、それでだめならまた考える方向で」
「そ、そうですね」
ぶつぶつと何事かつぶやいている『回転者』に近づいて、
「橘、聞こえてるか?」
「異教者め!! 悔い改めよ!!」
「お姉さんが探してるぞ」
ぴく。
となにか反応があったように見える。
がそのまま。
「すぐさま神の怒りが降りかかる!!」
すぐさま元の調子になる。
手ごたえはあった。
淡雪に目配せをすると、スマートホンを取り出す。
どこかへ電話をかけている様子だ。
「あ、橘さんのお姉さんですか?」
ビクリと『回転者』が体をこわばらせる。
「橘、ここが帰る最終地点だと思うぞ」
「……」
『回転者』――いや、橘が押し黙る。
「もう、いいです」
『回転者』が崩れる。
現れたのはうなだれている安逹と橘だ。
橘の方は大きなけがを負っている様子はない。
それに対して安逹は『回転者』が受けた大けがを負っている。
「まってる人がいるんだから、帰らないと待ってる人がいる間に」
「それは……」
橘は押し黙ってしまう。
結論が出そうなので次は安逹から危険な物を取り出すことだ。
淡雪に目配せをする。
「さよなら、橘くん」
背筋に寒気が走る。
その予感に従い急いで頭を下げた。
それが命を救った。
一瞬前まで頭があった空間が炸裂した。
「くっ」
言葉を漏らして、切りかかる。
そうしたら、じっとこっちを見たまま。
「こんどは見殺しじゃなくて、てをくだすの?」
思わず勢いがそがれてしまう。
同時に周りの壁から異音が響く。
建物を丸ごとねじっている。
「山上さん!!」
鋭い言葉が飛んでくる。
そして気づく、このままでは橘が危険だ。
押し寄せる水は溺死以外にも壁に強打されたり、瓦礫によっても簡単に人を殺す。
「橘!! 少し我慢しろ!!」
と言いながら刑事さんたちが使っていた被り物をかぶせて、上へと飛ぶ。
その時、建物全体がねじ切られた。
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あの後必死で瓦礫と濁流から橘を守りながらなんとか岸まで引き上げることができた。
しばらくは大きな反応をしなかったが、ある時涙をこぼし始める。
「好きだった、順番や理由は間違っていたとしても好きだった」
「うん」
きっとその理由は本当に正しいのだ。
他人からは所詮勢いなどと言う人はいるかもしれない。
でも、俺はその気持ちを少しは理解できる。
「でも……でも」
「必ず連れ戻す」
そう心に決めて、口に出す。
すると橘が深々と頭を下げる。
「俺がこんなことを言える義理はないかもしれない、でも――」
その先は聞かなくてもわかるので、うなずくことで返事とした。
明日も頑張ります。




