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4月14日-4

間に合いました。

 死にそうになっている男性と一番若い子を大きな籠のようなものにのせて蹴破った扉から連れ出す。


 上にも似たような部屋があるみたいだが、横壁を破壊して入ってきたので興味ないので見ていない。

 向かう先は一部が金属が塗られたようなっている場所だ。


「これをつけてと」


 金魚鉢のようなものを二人にかぶせる。

 男性はぐったりしているので無反応だが、女の子がぐずるように泣き出す。


「おねぇちゃんか、おばちゃんは?」


 いままでは流されるように来ていたため実感できていなかったようだが、これから逃げるときになってようやく他に気が回るようになったようだ。


「ならもう少し待てるか?」


 聞くとはっきりとうなづいたので、どちらかと一緒にした方が良いだろうと判断してとにかく急ぐ必要のある男性の金魚鉢のような被り物の気密を確認する。


「といっても自動でやってくれるから完了まで待つだけだけどな」


 とつぶやいてほんの少し待つと、視界の端に通知が出る。

 ので籠にしっかりと固定して――


 金属部分に押し込んだ(・・・・・・・・・・)

 するとその部分から飲み込まれていく。


「え!?」


 それを見ていた女の子は目を見開いて驚き半分興味半分という面持ちで質問してきた。


「なんで!?」


 苦笑して、まじめに答える。


「この金属の部分は自由に形が変わるようになっているから、隙間を作らないように変形させて通している」


「なんで? 穴をあけちゃえばいいんじゃないの?」


 そこでそういえば外がどうなっているか伝えてなかったことに気付く。


「この外は水でいっぱいになっている、穴をあけたら溺れるからね」


「ふーん」


 あまりピンと来ていないようだが、納得はしたようなのでそのままにする。

 外に送り出した籠は自動で沿岸に待機している警察の元に送られる。

 帰ってくる際に刑事さんも乗り込んでくるようだ。


 しばらくすると逆回しのように壁から籠が出てくる。

 その中には金魚鉢のようなものをかぶった刑事さんが乗っている。


「びっくりするなこの移動手段、壁にまっすぐ向かうからちょっとどころかかなり怖かった」


「それはすいません」


 それを慌てて刑事さんは止めてくる。


「あ、文句を言ったわけじゃないんだ、なかなかない体験をするな、と」


 そこまで話したら、表情を切り替えて奥の部屋へと向かっていく、ここからもう警察の仕事だ。

 最初に二人で突入したのはナニが居るかわからないため、何とかできる戦闘力を持った二人で来た。

 しかし中を見たらそこまで危険な存在が(あと一歩で人を殺しかけた人がいたが)いたわけではないので警察と救急の人を迎えることにした。


==============〇=================


 人手が来たら早いもので、あっという間に監禁されて殺し合いをさせられていた人は外へと連れ出された。

 最初に運び出した男性はおそらく片目の失明と体の各部の骨にひびが入っているだろう。

 残りの三人は似たり寄ったりの怪我だ。


 顔を何度もぶつけられたと思しき女子高生は腕のいい形成外科医に任せるしかないだろう。


「なぁ、淡雪?」


「なんですか?」


 現場検証などをしている警察官などの邪魔にならないように隅で話し合う。


「ひどいけがを負わされた人がかなりいるけど、何とかならないか?」


 手を貸すことで助けられるものがあるなら助けたいので聞いてみる。

 と、


「できますよ」


 あっさり答えが返ってきた。


「目の方は夜にこっそりばれないようにやっておきます、顔の方もこうこっそりと」


 といって怪しげな手つきでなにかを注射するようなしぐさをする。

 本当に大丈夫なのか? という思いを込めて見ると、親指を立ててきた。


 そんなやり取りをしていると刑事さんが現れる。


「現場検証もそろそろ終わりそうだが――」


 そこでいったん言葉を切り。


「いらない人を生贄を捧げろ、と言われたらしい」


 おそらく殺し合いをしていた理由だろう。

 訳の分からない存在に拉致されてそんなことを言われたら冷静でいられる自信はない。


「……えーとですね」


 ポツリと淡雪が漏らす。


七人のなか(・・・・・)でいらない人と言われたんですか?」


 聞かれた刑事さんは腕を組み思い出しているようで、首を横に振る。


「そのような話はなかったが――」


 そこで、じゃあ。

 と淡雪が続けて、死体袋に入った身元不明の遺体を指さして。


「申し訳ないんですけど、その遺体(・・・・)をそのロープにかけてもらっていいですか?」


「……どういうことだ?」


 あくまでも私の勘ですが、と前置きをして。


「このように手間をかけた悪趣味なことをやる存在が見ていないはずがない(・・・・・・・・・・)と思うのです」


 その場は水を打ったように静まりかえる。


「そして、誰かを殺さなくても良い方法を用意しているのじゃないかと思いまして」


 もしそうならそいつはとてつもなく悪趣味だ。

 刑事さんは小さくうなずき、遺体が入った袋を下ろすように指示を出す。


 そして、俺をのこして残りの人間は安全と思われる距離まで離れる。

 淡雪は離れた人にもしものことがあるとまずいので、そちら側だ。


 ファスナーを開けると人相がわからないほど破壊された遺体が出てくる。

 心の中で軽く謝り、取り出して首を吊るす用と思われるロープに吊るした。

明日も頑張ります。

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