4月最後の夜-1
間に合いました。
「ちぃぃ!!」
左手でリーパーの白熱化した右の貫き手を受ける。
そのまま手首を返すようにして払われ脇が開く。
それと同時にコンパクトに畳まれた左の義腕がねじ込まれる。
体当たりをかけるようにしてわざと食らう。
「ダメージが入らないからという判断なら甘いですよ」
リーパーは腰を深く落としす。
その瞬間強化外骨格全体が大きく震える。
それは俺には何もダメージを与えなかったが――
「が ふっ!!」
深雪が血を吐いた。
遠く離れた物を攻撃した現実離れした光景だ。
しかしタネはある。
「“ディープスロート”の音響兵器ですか……」
「その通り、その気になればこれ位はできます」
「マジか」
つまりリーパーは鎌以外に俺の装甲を無視して攻撃できる手段を持っていることになる。
この調子なら右腕も一筋縄では済まない可能性がある。
気を引き締めて構える。
そこでリーパーは小さな笑みを浮かべる。
「戦いにくそうね深雪ちゃん」
「さぁ、どうでしょうね」
と言いながら周囲に円錐上の物を作り出して打ち込む。
それを右の掌から撃ち出すプラズマ球で打ち落とす。
その表情には余裕がある。
「だって、わたしなら避けようがないガスとか作りますね」
「っく……」
深雪はただ小さくうめく。
図星だったようだ。
確かに強化外骨格を着ているわけではないので避けようのない攻撃はいくらでもある。
それを行わないのはここがホテルだからだ。
階下には人がいるから思い切った範囲攻撃ができない。
避難はされ始めているだろうがそれでも街の真ん中で大きな爆発を伴うような攻撃はできないだろう。
それを読んだのかリーパーは小さく笑みを浮かべて背後に一つの扉を出した。
扉をくぐりつつ――
「では場所を替えましょう、全力を出せるように」
といって向こうに行った。
間髪入れず二人でその扉をくぐった。
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扉をくぐった先は見覚えのある場所――
「ここはリーパーと初めて戦った」
「ええ、思い出深い場所でしょう」
橘がダレカに呼ばれて取り込まれかけて、リーパーがエネルギーの結晶を手にするためにダレカの首を斬り落とした場所だ。
見通しが効かない森の中にぽっかりと開いた下草しか生えていない開けた場所だ。
戦いあうには十分な場所だ。
「さすがにあのサポートデバイス来たらやられるので距離を離させてもらいましたよ」
「それでも全力を出するなら問題ありません」
その瞬間、見渡す限りの地面や木々に回路のような光が走る。
そうすると草木はなくなり、地面は金属光沢をもった平地になる。
「さて、いきますよ!!」
その瞬間地面が輝く。
縁の辺りからプラズマジェットが噴き出る。
それは弧を描きドーム状に囲む。
「なるほど、壁ですか」
「ええ、空間全部を生存できないほど加熱すれば死ぬしかないでしょう?」
俺はプラズマの直撃を受けても焦げ跡すらつかない。
そして深雪もまた再生能力はリーパーを圧倒している。
つまりリーパーはこのままいけば必ず死ぬ。
が、そんな状況でも余裕の笑みを崩さない。
「確かに厄介ですけど、そこまでですね」
気軽に言って一歩踏み込んでくる。
それは震脚に移り地面を撃ちぬく轟音が鳴り、ひび割れが入る。
そこでリーパーの髪が伸びてひびに入り込み輝く。
するとプラズマの壁が歪み始める。
プラズマの厚みが不安定になり――
「まずい」
と深雪が口に出すと薄くなった場所から破裂するようにして割れた。
「発想はよかったですけど、内部の圧力が高くなることを見逃してはダメですよ、特にドーム状にするのは繊細な調整が必要です、あの短時間でやったことはすごいですがちょっといじられるとたちまちこうなります」
「……」
深雪は押し黙っている。
「さて、続きです」
自然体で立ちながら悠然と話しかけてくる。
「こんなものじゃないんでしょう?」
「そうだ」
「ええ」
二人でうなずいて最終決戦を再開した。
明日も頑張ります。




