4月14日-1
間に合いました。
2019/09/13 少し修正しました。
砲弾を迎撃した後、泥のように寝てしまった次の日。
そこはニ三日ぶりに見た淡雪のホテルだった。
そして感触からすると膝枕のようだが、いつもより薄い気がする。
目の前に見える淡雪の顔もどことなく違和感――幼いように見える。
「おはようございます、山上さん」
その声は少し甲高くなっており、その疑問が当たっていることを証明する。
「おはよう淡雪、その体は?」
「『回転者』に下半身をばっさりやられてしまったので、小型化しました」
相変わらずでたらめな体をしているな。
と思い、起き上がる。
それに従って、淡雪も立ち上がるが体のつくりが全体的に小さくなっている。
背丈は元は俺の肩を少し超えたところだったが、今は胸のあたりにまで小さくなっている。
特に変わったのが髪だろう、長かった髪が肩口あたりまで短くなっている。
服装は丈の調節がしやすかったのかオーバーオールと長袖のシャツだ。
普段とは全然違う、どちらかというと活動的な格好は新鮮に映る。
「大丈夫か?」
「機能的にはそこまで縮小化していませんから」
そういうことじゃないんだけどなぁ。
と思ったので口に出す。
「機能の事じゃなくて体調なんだが」
その言葉を聞いてようやく真意に気付いたのか、笑みを浮かべる。
「おかげさまで」
あと言い忘れたことがあったのでそれも付け加えることにした。
「その活動的な格好もいいな……あ、小さいのが良いってわけじゃないぞ」
「わかっていますよ」
クスクスと笑っている。
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とりあえず朝食をとって、幸次さんに連絡を取ると最近立て続けに起きている事件のせいでしばらく学校は休みなるそうだ。
ただ、プリントが配布されそれをもとに自習して、始まる時に試験を行うそうだ。
しかし今日は日曜日なので学校はない。
「ところで昨日の『回転者』って」
「残念ながらまだ生きていると思います」
ホテルのラウンジの片隅で並んでソファに座って小声で話す。
場所としては入ってくる人間なども見張れるポジションなので怪しげな人物が来たらすぐ対応できる。
ラジオからは一昨日、金閣寺でボヤがあったとかで大きなニュースになっている。
そのおかげか謎の飛行物体の話はなさそうだ。
「どこに潜伏していると思う?」
「探してはいるのですが……」
その表情からすると芳しくないのだろう。
いままでの能力からすると、巨大な建造物や乗り物を難なく破壊できるだろう。
逃げる間際に放ったあの砲弾がもっと撃てるなら危険すぎる。
が、あっさりと淡雪は否定してきた。
「ただ、『回転者』はかなり力を使っています、おそらくは傷をいやすことに使うでしょう」
「なら、今の内ということだな」
「ええ、動けないうちに叩いてつぶしましょう」
言っていて俺たちはかなり好戦的だなぁ、と頭の片隅で思う。
「ところで安逹――は身寄りがないとしても橘の方はどうなってるかわかるか?」
見せてもらったブログを書いていた母親の方は半狂乱で探し回っていそうだと思うが――
「落ち着いている様子ですね、いやな言い方ですが家出をするような子供はいらないということでしょうか?」
「……ひどい話だな」
勝手に押し付けて、外れ方が許せないからもういらない。
というのはあまりにも自分勝手だ。
「対してお姉さんの方は電話もつながらないのは流石におかしいと思っているのかさりげなく探している状態のようですね」
「いや、本当に淡雪の調査能力は優秀だよな、監視カメラや通話記録をさかのぼって確認できるんだから」
しみじみと語る。
「っふっふっふ、ほめてもいいんですよ」
体が小さくなっていることもあってどこかほほえましい得意げな顔を見せる。
だから年下に行うように自然に頭に手を置いて、
「はいはい、すごいすごい」
「もぅ!!」
とむくれた顔も幼さが見えて、少しだけおかしくなる。
「ともかく身内のお姉さんの方と警察に話を聞きに行った方が良いかもしれないな」
「確かにそうですね、電子的に追いかけるのは手詰まりになってきましたし、真っ向勝負なら勝てるんですが先に逃げて映像の改ざんを行った後というのは少し厳しいですね」
大まかに話がまとまったので二手に分かれて行動することになった。
明日も頑張ります。




