4月30日-10
間に合いました。
あの後穂高さんから連絡がはいり、リーパーとナードたちを指定された場所に連れていく。
そこは会議室のような場所だった。
机の上にはノートパソコンが置かれ画面には穂高さんがうつっている。
テレビ会議みたいなものらしい。
「さて――」
その場で一番最初に口を開いたのは穂高さんだ。
「リーパー? 話してもらえるわね、なにが起きているのか?」
それに素直にうなずくリーパー。
「ええ、もちろん、降参したんですもの前みたいな騙し打ちみたいなことは誓ってしませんよ」
その言葉に対してリーパー以外の全員が疑わしさを込めた視線を向ける。
が、リーパーはいつものような笑みを浮かべて無視をして――
「結論から言うと、世界は滅亡していました」
あっさり言われるそれは現実感が湧かない。
しかし空に浮かぶ赤い何かが何よりの証拠に思える。
「まず空に浮かぶあの赤く輝いている物ですが――」
視線はパソコンの画面に向いている。
「穂高二佐は気づいているでしょう?」
「ええ、太陽ですね」
画面の中で半ば以上半信半疑の表情で穂高さんは続ける。
「あの物体が現れた後、多少の混乱はあったけどすぐに正体は判明したわ」
パソコンの画面の端に映るのは何らかの波長を示した物のよう見える。
「簡単に言えばあの空に浮かぶ物体から発せられている光の波長から気が遠くなるほど歳を取り、赤色巨星の段階に移った太陽の可能性が高いそうね」
聞きなれない言葉に首をかしげる。
その様子を見かねたのか深雪が解説してくれる。
「太陽のように光を放つ星はいくつかの段階を持っています、私たちが知っている太陽は水素からヘリウムを作る核融合を活発に行っている段階です」
「白く光っている状態ってことか?」
「まぁ認識としてはそのようなものです、そして燃料を消費しているという事は減少し続けているわけです、そうして一定以上燃料を使い尽くしたら膨張し始めます、その段階が赤色巨星――」
といって空中に赤く輝く太陽を表示する。
「でも、太陽がその段階に移るのってかなり時間が必要だと思うんだが……」
そこで穂高さんが反応する。
「少なくとも二十五億年は経っているそうね」
「え?」
数字というより単語として認識できた年数に思わず戸惑った。
「天文学の関係者は絶対に見ることができない現象に色めきだっているようだけどこの際関係がないわ」
軽く肩をすくめ話を続ける。
「まず衛星関係はすべてなくなっているわ、蒸発したようにね」
その言葉にリーパーが答える。
「そのままの意味ですね、あのレベルの熱量に耐えきれる設計はしていないはずですから」
そう。
と言葉を受け流しながら言葉を続ける。
「そして国外への脱出は無理ね、航空機も艦船もすべて日本の国外に出たら破壊されたようよ、そして海も存在していない可能性が高いそうね」
「これもそのせいですね、日本の国外だと猛烈な熱で生物は生きていけないでしょうね」
沈黙が満ちる。
内容があまりに荒唐無稽だからだ。
いつの間にか数十億年時間が進んでいて、なぜか日本だけが熱の影響を受けていない。
あまりの事に少し頭がくらくらする。
「ではリーパー? なぜ日本だけ無事なの?」
「一言では言えないのですが……」
少しだけ口をつぐんでいる。
考えをまとめているようだ。
「この際ですから、この一か月私たちから行った事をお話ししましょう」
とゆっくりと口を開いた。
明日も頑張ります。




