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4月30日-7

間に合いました。

 まだ日も高い空。

 何も遮るものがない空中で何度も切り結んだ相手と対峙する。


 リーパーはいつものワンピースに両手に身の丈ほどの長さをもつ細身の剣を構える。


「勝つつもりですか?」


 どこか悪戯っぽい表情で話す。

 表情と口調だけなら近所に出かけるような気やすさだ。


 しかし内容は敵対を示している。


「それをやるしかないからな」


 鞘に納めた剣の柄に手をそえ構える。


 深雪ならナードとのハッキング対決におそらく勝てる。

 となると俺がやるべきなのは時間稼ぎだ。


 ただまっすぐリーパーを見据える。


「ふぅん」


 満足げに笑う。

 その表情は自然に出て来たもののように見える。


「いい顔ね、死にもの狂いでもなく、かといってあわよくば勝ちたい、そんな顔に見えますね」


「……っ!!」


 答えは前に進むことで示す。


 時間を稼ぐことが目的だが受け身だとジリ貧になる。


「ふふ」


 小さく楽しそうに笑い、右手に持った剣で突いてくる。

 それをわざと額で食らい肉薄しようとするが、あっさり距離を取られる。

 突きを放った剣を押す形になったからだ。

 曲面で受けたにもかかわらず一切軸がぶれることなくだ。


「相変わらずどんな技量をしてるんだか」


「慣れてますから」


 なんでもない事のように楽しそうに口にする。

 そのまま表情を引き締めて、後ろに体重をずらしたようだ。


「さて、いきますよ」


 同時に距離を無視したかのようにいきなり目の前に隣接していた。


「っ!?」


 離れると考えていたが、実際はその逆を突かれた。

 手は俺の鞘に伸びて――


「く!!」


 体当たりをするように突っ込む。

 鞘から抜くためにはリーパーから見るなら引く必要がある。

 だから押し込むことで距離的に抜かせないようにする。


「へぇ、なかなかですね」


 苦笑と感心が合わさったような表情で話しかけてくる。


 どういう事だかわからないが、なぜかリーパーは大鎌を使ってこない。

 その警戒は必要だが、あの鎌以外で俺にダメージを与えられるのは俺が持っている剣くらいだろう。


「よし!!」


 覚悟を決めて剣を使えないように収納する空間に戻す。

 これで俺は無手だが――


「思い切ったことをしますね」


 いつ盗られるかわからないなら、この場から無くせばいい。

 簡単な話だ。

 これでリーパーは大鎌を持ちださない限り俺を撃破できない。


「素手でやるつもりですか?」


 呆れたようにリーパーは答える。

 ごく自然に垂らした両手には剣呑な光を宿す剣を一振りずつ持っている。


「ああ」


 強くうなずき答えを返す。

 決意を示すように固くこぶしを握り構える。


「なら試しましょうか」


 ふわりと蝶のように軽やかにこちらに向かって飛んできた。


「行くぞ!!」


 対する俺は弾丸のように飛び掛かった。

明日も頑張ります。

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