4月30日-5
間に合いました。
「ふぅ」
ため息をつき気を抜いたその瞬間――
「気を抜いたわね」
聞きたくない声が聞こえます。
出所は背後からです。
「っ!?」
驚きつつ背後に向かって振り向きざまに“ウォーモンガー”の剣を打ち込みます。
「さすがの判断ね」
素手で真上に弾かれます。
同時に逆の腕で私の首を狙った貫き手が伸びてきます。
「くっ」
同時に”ナード”からのハッキングが行われます。
狙いは――
「サポートデバイス」
「えぇ、アレが取れれば全部ひっくり返せるでしょう?」
「させません!!」
逆にもう一本の剣を取り出し刀身で貫き手を受けます。
“ナード”からのハッキングだけなら問題なく対処できます。
しかし“リーパー”からの攻撃を受けながらとなると話は別です。
「ふふ、悩んでますね?」
薄い笑みと共に密着してきて私の腹を狙ってきます。
剣を持ったままだと間に合いません。
だから左の剣を手放し身軽にし、手で受ける。
「っ!?」
その手ごたえは異常に軽く感じます。
「かかりましたね」
“リーパー”は口の端に笑みを浮かべて手放した剣に手を伸ばしつかんできました。
そして宙返りを打って距離を離れました。
「出来たらプラズマ砲がついている方がよかったのですけどね」
薄い笑みを浮かべて右手に掴んだそれで突きを放ってきます。
厚みしか見えないほど鋭い突きです。
「くっ!!」
わざと少しだけ落下し避けて返す白熱化させた剣で横へ薙ぐようにして切り返しますが――
「まだまだね」
“リーパー”は突きを放った剣を上に弾くように手放して無手になり上昇します。
同時に前転でもするように体を縦に回転させます。
「あっ!!」
横振りの一撃は避けられてそれどころか前転から派生したかかと落としが命中しました。
「くっ!!」
衝撃こそ入りますが戦闘行動は続行可能です。
なので空ぶった剣を引き寄せようとしたとき――
「さっき言ったわよね」
剣を握った右腕に“リーパー”は右足を絡めています。
そのまま、てこの原理を利用して――
「く――」
湿った音と共にねじるように折られました。
が――
「折られても離さないのは流石ね」
そもそもわかっていれば痛みはカットできますし、切り離されない限りつかんだままにすることは可能です。
「だから斬るわね」
「え?」
伸びきった右腕に降ってくるのは“リーパー”が手放した剣です。
それは果物でも切るように私の手を切断しました。
落ちてくる剣と手放した剣、その両方に“リーパー”は手を伸ばし――
「これで二刀流ね」
クスクスとどこか子供のように笑いながら構えを取ります。
「っ!!」
とっさに距離を取り、仕切り直します。
「……相変わらずというかなんというか」
切り落とされた右腕とっさに拾ってきたので断面に押し当てて接続させます。
たった数合で武器を奪われる、その技量に背筋が凍ります。
「なれてますから」
一拍。
それだけ置いて流れるような動きで隣接してきます。
両手にナイフを作り出し受けようとしたとき――
「ここだ!!」
聞き覚えのある声――聞きたかった声が耳に入ります。
その声の主は高空から隕石のように落下しながら“リーパー”に斬りかかります。
「なかなかですね」
と言葉とは裏腹に“リーパー”は余裕をもって対処します。
身を軽く傾けることで避けます。
「リーパーの相手は俺がやる!!」
そう宣言されたので、“リーパー”の相手は任せて“ナード”とのハッキング勝負に移ります。
二人から少しずつ距離を取りながら口にします。
「さぁ……電子戦での勝負と行きましょうか」
そして私は電子の世界に意識を飛ばしました。
明日も頑張ります。




