4月30日-4
間に合いました。
「間に合いました!!」
爆風に巻き込まれ墜落するヘリに飛びつき中から操縦士と副操縦士を助け出しました。
操縦士の方は意識がなくなっていますが息はまだあります。
「協力者です!! 本州の停電が一段落したので来ました!!」
手早く答えます。
上空には発電装置として利用していたサポートデバイスも飛んでいます。
そこまで伝えると副操縦の方が疑問を口にしました。
「は? どうやって?」
「運び込まれていた機材って心当たりありませんか?」
必死に作って全国に送り出していたあれです。
「そういえばなんか送られてるってのは聞いたことがある」
「それです、簡単に言えばバッテリーです」
その表情は怪訝そのものです。
それで何かできるのか?
とでもいいそうですが――
「数時間持たせればどんな相手だろうと撃破できます」
言い切ります。
その言葉を聞いた副操縦士の方は半信半疑の表情をしています。
ともかく安全な場所におろして当たりの人に通信を飛ばします。
「これからあのクリーチャーを撃破します、すぐに離れてください」
その通信の後、ゆっくりと去って行くのがわかります。
「さて、やりますか」
気分を引き締めて空に飛びあがった。
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「さて、これまでの情報をまとめると――」
眼下ではのたうち回りながら身を起こすクリーチャーが見えます。
しかしその身はあっという間に凍り付いていきます。
「自身のダメージに従って周囲から熱――本来はエネルギーを吸うつもりだったのでしょうね、発電所に取り付いてそこからかすめ取るつもりだったのでしょう」
しかし実際はその前に深刻なダメージを受けて発電所手前で際限なくあたりを凍結させているように見えます。
そしてさっきのヘリまで届いた巨大な爆発の原因もわかりました。
「液体酸素ですね……」
体についている霜のような物はドライアイスのようです。
運が悪いことに酸素が液体化するほどの低温まで下がってしまっていたために、爆発物の燃焼速度が加速された結果巨大な爆発になってしまったという事のようです。
攻撃は冷却速度を上げることになるのでうかつな攻撃は問題になりそうです。
「ではやりますか」
しかし答えはあります。
上空のサポートデバイスに命令して一撃を入れさせます。
「狙いは凍結されている場所」
四肢がもげるという大けがを負いながら水を凍結させることなく泳いできました。
という事はダメージを受けた瞬間しか熱を奪わないという事になります。
なら凍結されてしまった場所なら?
答えは――
「うまくいったようですね」
胴体真ん中あたりで割られてしまいましたが、下半身の方は氷の成長が収まります。
上半身は相変わらず海面の凍結が進んでいますが、スピード自体は変わっていません。
「次」
掛け声とともに狙撃のようにピンポイントで割っていきます。
そうすると――
「心臓が中心機関のようですね」
頭部もなくなり残っているのは胸の部分程度まで削ぐことができました。
「よし――と」
ここまで来たらあとは簡単です。
サポートデバイスから胸――脈打つ心臓部分が埋まっている氷に向かって杭を数本発射させました。
その杭には銛のような返しと鎖がつながっています。
「吊り上げます!!」
宣言通りに空中に氷塊を吊り上げます。
勢いよく吊り上げたので私がいる場所を通り過ぎて空高く舞い上がります。
同時に鎖を切り離して――
「全力攻撃!!」
連射される杭は一刹那で取り囲んでいる氷塊を粉砕、胸部をあらわさせます。
続く一刹那で大量に杭が撃ち込まれて、唐突に白い塊が生まれます。
「窒素の個体ですか」
驚くがそれを打ち砕き連射させます。
「低温は一定値までしかないですよ――」
何度まで下がったのかは確認する方法はありませんが、空気は水より圧倒的に熱伝導率が低いです。
つまりあっという間に周囲の熱が枯渇します。
と、ある時点で砂のように胸部が崩れていきます。
仕留めたようです。
「ふぅ……何とかなりました」
胸をなでおろしながらゆっくりと地上に向かいました。
明日も頑張ります。




