4月29日-16
間に合いました。
20200127:タイトルの間違いにきづいて修正ました。
「BOooooo!!」
空気が唸るような音を吐きながら飛行機と並んで飛んでいるのは全長が飛行機と同じくらい巨大な鳥だ。
それも水にぬれた銀色の羽根で空を羽ばたきもせずに飛んでいる。
「なにかしら? あれ?」
さすがのリーパーも困惑している様子だ。
それほどまでに常識離れしている。
そして進行方向を変えたのかみるみる近づいてくる。
「っ!?」
慌ててナードに顔を向けて話しかけた。
「“ナード”、レーダーの反応は? 色んな所にバックドアは残してあるでしょう?」
「……」
ナードも白い顔を呆然とさせて首を横に振る。
「映ってない」
「……あの巨体でレーダーに映らない……なんなの一体」
今まで余裕の態度を崩さなかったリーパーが初めて明確に慌てている。
すると――
「LuUUuu――」
「歌って……いる?」
笛の音のような音と共に波紋のように銀の体が震える。
続いて――
「なにが!?」
鳥から銀色の針――大きさ的には杭が連射される。
リーパーはナードの前に立ちふさがり杭を次々に叩き落す。
「っ!!」
嵐のように撃ち込まれる杭は機体の壁を突き破り、乗客たちに突き刺さる。
「!?」
リーパー達を狙っていたので誤解したが、皆殺しに来ているように見える。
そう考えた瞬間――
「が!!」
胸の中央を杭で貫かれた。
その勢いで宙を舞う。
「ぅ――」
地面に倒れ呻く。
視界には次々機内に突き刺さる杭が映る。
「一体――何ごとなんだ」
今までは殺し殺される程度の規模だったのが、嵐が来るような暴力にさらされる。
深く息を吸って、吐く。
「く、そ 強化外骨格を着てたら……」
そんな泣き言が漏れる。
しかし頭のどこかで着ていたとしてもどうしようもないだろうという事が理解できる。
俺が守れるのは結局手が届くだけの範囲だ。
飛行機全体を守れるような行動は俺にはできない。
無力感に打ちのめされただ涙を流す。
守るどころか俺の体は杭に貫かれて何もできずに死――
「ん?」
疑問が起きる。
「なんで普通に生きていられるんだ」
胸を貫かれてしまったのなら今まで通りならせめて体が捻じれるような激痛が走るはずだが――
「よっと」
なんの気なしに立ちあがれた。
「は?」
ここ最近感じたことがないほど軽快に立ち上がり、指先まで力が満ちている。
「なんでこんなに調子がいいんだ!?」
銀色に輝く杭はいまだに胸に刺さっている。
さらにそこで気づくが――
「なんでこんなに外壁を破られているのに普通に飛んでいるんだ」
貫かれたはずの穴は見当たらず、しかし乗客に突き刺さった杭はそのままだ。
そしてよく見てさらに驚く。
「生き 返ってる!?」
乗客は顔色がさっきまでの土気色ではなく、赤みがさし穏やかに胸が上下している。
「一体……なにが?」
飛行機は安定した飛行を保ち、杭が生えているが乗客たちは間違いなく生きている。
「はぁ……はぁ……」
嵐のような攻撃を捌いたリーパーは肩で息をしている。
その瞬間――
「おっと!!」
飛行機に激しい揺れが走る。
ついに落ちるのかと思い外に目を向けると――
「っ!?」
巨大な眼と視線がかち合った。
「ぅ――」
無機質にも見えるその目に見られ射すくめられるように体をこわばらせた。
明日も頑張ります。




