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4月29日-9

間に合いました。

 座席を蹴って軌道修正する。

 前に二人、後ろに二人ではどう考えても戦いづらい。


 天井近くまで飛んでバク転の要領でナードたちを飛び越えようとする。


 手足の集合体の化け物は体を組み替えるようにして手を伸ばしてくる。


「くっ!!」


 伸ばされる手を不安定な態勢で弾く。

 金属がぶつかり合う盛大な音と火花が飛び散る。


 座席のヘッドレストに着地し、余った酸素マスクを口に当てて一吸い後に――


「頭下げて!!」


 と座っている乗客に警告して、伸ばした腕を構え直した異形からこちらに向けてまっすぐ拳が伸ばされる。

 天井までの高さがそれほどないためしゃがむような体勢から、剣を振り上げて上方向に弾く。


 すかさず飛び降りるようにして踏み込み、振り下ろす。


 それを横から飛んできた橘に弾かれる。


「オレを忘れてないか!? 山上ぃ!!」


 忘れていたわけではないが、挟まれているし乗客に気を付けないといけない。

 何とか着地する。


 幸い何とかしのげているが――


「ん?」


 不思議に思う。


「もしかして――」


 座席のヘッドレストにとびのり渡るようにして移動する。


 すると――


「ちぃぃ!!」


 橘はあからさまに舌打ちをする。

 そして乗客を避けるようにして追いかけてくる。


「そうか!!」


 ノスタルジスト達が乗り込んできたのは()()()()()()()()()()()

 逆に言えば飛んでいる最中に乗客が死ぬわけにはいかないという事だろう。


「これはいい情報だ」


 ノスタルジスト達も乗客を直接殺すつもりがないなら乗客が襲われることは無視をしていい。

 酸素マスクを口に当てながら考えをまとめる。


「よし、と」


 今度は忘れないように定期的に高カロリーのお菓子を口にする。

 ラムネはもうないので飴だ。

 口の中でかみ砕きながら移動を続ける。


 四足歩行できる橘は移動しやすいはずだが、強化外骨格の出力では下手に力をこめたらヘッドレストを破壊する。


 だから慎重に進む必要があるのか距離を離すことができた。


 通路に飛び降りて振り返り構える。


 地をかするような軌道でアッパーカット気味の攻撃を異形が打ち込んでくる。

 それを真上から振り下ろした剣で打ち込み弾く。


「次はここ!!」


 弾むようにして跳ね上がった剣の切っ先を上から跳んできている橘に向ける。


「ちぃ!!」


 舌打ちをした橘が首をかしげて避ける。


 だから一歩下がり振り下ろす。


 火花が散り、軽くだが斬りつけた。


「くそがっ!!」


 そのまま突進してくるので下段突きを行う。


 右に跳ぼうとして、足を止めた。


 浅いが確かに入る。

 深追いはせずバックステップを踏んで距離を取り次の酸素マスクに移る。


「戦いづらいようだな」


「ふん」


 橘は多くは語らないが狭い中、俺以外を殺さないように立ち回るには出力を持て余しているようだ。


 人体を簡単に引きちぎれて、飛行機の外壁くらいなら破壊できるので立ち回りに細心の注意が必要になっているようだ。


 そして機内は狭いので一気に囲んで襲ってくることもできない。


 有利なわけではないが、かといって絶望的なほど不利ではない。

 そう強く思って柄を握りしめた。

明日も頑張ります。

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