4月29日-8
間に合いました。
着席していない乗客がいるにもかかわらず航空機は飛び立った。
穂高さんの話では精密な機器扱いで加圧された貨物室に運ばれているので発振器に従って進み――
「ここだな」
と言って扉に手を当てる。
周りを見ると、乗客はすし詰め状態で置いておかれているため段々ぼーっと――
「空気薄くないか?」
考えがまとまらない。
しっかり息をしているはずなのに呼吸をしている気がしない。
「まずい」
このままでは低酸素症で殺されかねない。
同時に飛行機が不安定に揺れ出す。
墜落につながる事故が始まったのだと思う。
「おきゃかきゃっくくままさま」
視線を上げるといくつも人をつなぎ合わせたような形をした物体がいる。
動きからするとこちらに敵対している風はなく介抱をしようとしてくれているようだが――
「すまんが――」
思い切って施錠されているドアをけ破り乗り込んむ。
「なにいににあにあををおを!?」
驚愕している乗務員もどきを無視して得物を握る。
そして――
「せい!!」
床を切りつける。
と、猛烈な勢いで空気が流れ込む。
少しは呼吸ができていたという事はすこしは客室が与圧されていたという事だ。
だから与圧されていない場所までの穴をあけると急激に圧が下がる。
地元から関東圏に来るために乗った飛行機の安全喚起の映像通りなら――
「よし!!」
座席の上から黄色いコーンのような物に透明なパックがつけられたような物――酸素マスクが降りてきた。
乗務員もどきは一瞬迷ったようだが急いで座席に向かって行った。
脇に見える荷物であけた穴を埋めて応急処置して這いずるようにして、使う主のないマスクを当てて何度か深呼吸をする。
不思議なことに乗客全員に行き渡る分の酸素マスクがあったらしい。
そうしている間に段々頭にかかっていた靄が晴れてきた。
視界に映るのは――
「橘とリーパー……」
橘はもうすでに強化外骨格を着ており、リーパーは小さな笑みを浮かべている。
「無茶をしますね、山上君」
半ば呆れられているような口調だ。
大分空気が薄くなっているのに平然としているのは相変わらず出鱈目だ。
と頭の片隅で思う。
橘は強化外骨格で覆われているため表情は読めないが驚いているようだ。
「……」
「俺が生きていることが不思議か?」
「さあな」
しかし身を低くして飛び掛かる体勢になってる。
リーパーも橘の向こうで大鎌を大仰に構えて――
「あ、そうか!!」
叫んで酸素マスクから離れて上にジャンプする。
それに合わせて金属の手足で形作られた異形が殴り掛かってきていた。
「あっぶな!!」
注意を向けさせようとしていた事に気付いたからよかった。
ギリギリで避けた後で――
「おしい」
と控えめな聞きなれない声がした。
そちらを見ると白い小さな女の子――たしかナードだったと思う。
そいつが離れた場所に立っている。
「おいおい総力戦か」
わざと余裕のあるような口調で話すが実質は絶体絶命に近い。
「さーてどうしようか」
つぶやくが名案は浮かばない。
しかし状況は動き――
「いくぞ!! 山上ぃ!!」
今度こそ橘が飛び掛かってきた。
明日も頑張ります。




