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4月12日-2

よろしくおねがいします

 橘の家に向かうと中から誰かが言い争いをしている様子だ。


「まずいときに来てしまったか……」


「さすがにこの状態で訪ねるのはまずいですしね」


 と、などと話していると唐突に終わり一人の女性が出てきた。

 肌が少し興奮して朱がさしていることから言い争いをしていた一人が彼女のようだ。


 相手は俺たちが制服を着ていることに気付くと、少しバツの悪そうな顔をする。


「いやぁ、ごめんねぇ、外まで聞こえちゃってた? 弟――諸井と同じ学校だよね?」


「内容は聞こえてなかったです あとクラスメイトです」


「あちゃー、やっちゃったねぇ」


 と、頬を恥ずかしそうに掻いている。

 そして、片手で軽く頭を下げながら。


「学校では言いふらさないでほしいな」


「わかりました」


「ありがとね」


 と、せっかくなので橘がいないかを聞いてみることにした。


「あの、橘く――諸井君って今家にいますかね?」


 すると、何でもないことを言うように、


「ああ、ちょっとさっきまで家の中あれだったでしょ? だから連れ込んでた彼女さん連れてちょっと離れてもらってるんだよね、なに? 用事あったの?」


 入れ違いかぁ。

 と思っていると淡雪の様子がおかしい。

 袖を引っ張っているので何か話が有るようだ。


「ありがとうございます、急ぎの用事ではないので、また後できます」


「はいはーい、弟によろしくねぇ」


============〇===================


 橘のおねえさんを見送った後で、淡雪に向かい。


「なにかあった?」


「この街の監視カメラのほとんどは私が監視しています、でもいないんです(・・・・・・)


「出かけているなら写らないはずがない、さらに彼女って言ってたな」


 ということは安逹は橘の元に身を寄せていたことになる。


「急ごう!!」


 といったところで向こうから微かな笑い声が聞こえる。


「この声は安逹さん!?」


 と淡雪が言ったのでそちらをむくと、確かに安逹がいる。

 格好は落ち着いた深い緑のパーカーとふわりとした素材のフレアスカートだ。


 表情は以前に見た沈み込んだ表情ではなく、不気味なほど朗らかだ。


「なにが……」


「おーい、どうし……」


 と言いながら小走りできたのは橘だ。

 そして俺と淡雪の顔を交互に見て。


「え? あれ、こんなかわいい子学校にいたっけ?」


 何やらまずい方向に行きそうなので全力で話を逸らす。


「そういえば安逹って橘の家にいたんだな、何かあったのか?」


「あ、それは――」


 橘は明らかに目をそらすが、安逹が橘の腕に抱きつきながら。


「うん、いま付き合ってて――」


「安逹さん!? あなた――体の中どうなってるんですか!? めちゃくちゃですよ(・・・・・・・・・)!!」


 と、顔を青くして問い詰める。

 するとニコニコとしたまま。


ばれた(・・・)


 といった瞬間、周囲の家からもはや爆音に近い音量でテレビのCMが無秩序に流れて、一拍して。



「新元号は平成です」


 と聞こえた瞬間、後ろから一台のバスが暴走してきた。


「あぶなっ!!」


 強化外骨格をすぐに装着しバスを押しとどめる。

 淡雪は安逹を確保しようようとして、地面から急に生えてきた愛筒状の物に遮られる。


「なんで急に竹が!!」


 と抜ける間に橘と安逹は去って行った。


 心の内で舌打ちしたとき。


「ははっははああ、かいあしあsじゃしああ!!」


 という妄言と共にバスの中からフロントガラスを破るようにして刃物が突きこまれた。

 淡雪の方も竹藪の中から刃物を持ったモノ――ノスタルジストの化け物に切りかかられている。


「邪魔!!」


 とりあえず着きこまれる刃物に向かって拳を振るう。

 と、案外軽い音がしてそれがへし折れた。

 そのまま腕をつかんで引きずりだしてもう一発殴る。


 淡雪の方も手元に出現させた金属球で化け物を滅多打ちにしている。


 手早くここの物はかたずけたので淡雪に向かい話しかける。


「これだけか?」


「いいえ、まだです、そしてまた全国規模です!!」


 また、ひどい一日なりそうだと覚悟を決める。

明日も頑張ります。

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