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20190428-1

間に合いました。

「たーだいまー」


 などと言ってその部屋に入るがぶっちゃけ初回だ。


 場所は出てきた警察署の一室だ。

 そこにはすでに針山警部が座っており、コーヒーで一服している。


 僕の分もコーヒーが一つ用意されている。

 が冷え切っている。


 そのことに気づいて苦笑する。


「どうだった様子は?」


「本当に記憶がないみたいだねぇ」


 間接をほぐしながら答える。


 話によるとかなり頭の中をいじられていたらしく、淡雪ちゃんがいない今だと確認が難しいので一芝居うってみた。

 下手をするとノスタルジストの装備が残っていて大暴れされる可能性があった。


 だから要所要所ですぐに射殺できるように人が隠れていた。


「結構どやしたが妙なそぶりはなし、治療完了ってそういう事なんだろうな」


「だねぇ、記憶の混乱はあるみたいだけどほとんど覚えてないっぽいね」


 洗脳を受けていたとはいえやらかしたことがことだ。

 橘君は顔と経歴を変えて遠くで暮らすことになる。


「そういえば坊主――山上の様子はどうだった?」


 コーヒーを飲み干したカップを机の上に置きながら聞いてきた。


「体の調子は持ち直しているね――」


 思い出すのはやせ細っていた山上君だ。

 生きていたの不思議なくらいだ。


「いや、()()()()()()()のかも……」


「何がだ?」


 唐突に言い出した僕の言葉に針山警部が怪訝な顔をする。


 だから説明を始める。


 用意されていたコーヒーに視線を落として――


「山上君の様子、発見したときは本当に餓死寸前でね、かなり危険な状態だった」


「まぁその話は聞いてるよ」


 うん。


 とうなずいて冷え切ったコーヒーを手に取る。


「餓死って結局このコーヒーみたいに熱――エネルギーが体からなくなってしまった状態なんだけどたどり着いた時にはぎりぎり生きていたってちょっと都合がよすぎる」


「……雪の中だしな、都合がよすぎるといえば都合がよすぎるな」


 あまりにも都合がよすぎるなら、それは必然に近い。


「……山上君は淡雪ちゃんに治療を受けた際、そうそう死なないようにものすごく頑丈になったらしい」


「人なら即死級の損傷を受けても治って戦えていたとも聞くな」


 肯定する。


「もしかしたら餓死しかけたから動けなくなっても生き残らせる方向に修復機能が働いたのかもしれない」


「まて、エネルギーが消えた体って言ったよな」


 少し語気が強めに針山警部は話しかけてくる。


「人の体は電気製品じゃないんだぞ、一度消えたらもう二度とは点かんだろ」


「そう、でもないかもしれないんだよ」


 あん?

 と怪訝な顔でこちらを見る。


「いい、山上君の体を補修している物質は見た目のように金属に近い、そして原理は不明だけど繋ぐことと置き換わることができる、置き換わった状態でも問題なく機能できるそうだね」


 さて。

 と前置きをして冷え切ったコーヒーを掲げて示して針山警部に問いかける。


「このコーヒーを分析して細部まで全く同じ成分のアツアツのコーヒーは、この冷え切ったコーヒーと同じなのかな?」


 その言葉に針山警部は乾いた口調で返してくる。


「違っていたとしてももとのコーヒーがないなら、そいつを飲むしかない、そんなもんだ」


「だよね」


 と苦笑を浮かべる。


 もしかしたら山上君はあの雪の中で死んでいたかもしれない。

 でもその寸前に補修する部材が脳細胞と置き換わっていたのだとしても、山上君は山上君だ。


「ま、これからの人生で監視される理由が一つ増えた程度だしね」


「そりゃそうだけど、あんまりいい気はしないな」


 ぼそりとつぶやいたそれは本心だろうけど仕方がない。

 凶悪なテロリストや現代テクノロジーとは次元が違う技術で治療された体だ。

 一生監視されるのは確定している。


「とりあえず今日はこのまま様子見かな」


 と言いながら橘君が入院している病院に連絡を取る。

 いまの様子を聞くためだ。


 数コールののちに電話が取られる。


「いつもお世話になっております、青木です、理事長につないでいただけますか?」


「少々お待ちください」


 また数コール後に電話がとられ。


「なんだ、さっきの今で何かあるのか? あんたが入院させた患者だが指示どおりもう別の病院に移したぞ」


「……転院させた? どこからその話が持ち込まれましたか?」


「……話が食い違っているな、青木さん、あんたの端末から送られたメールに従ったんだが」


「なるほど、回線を盗まれてるので今すぐメールを受けた端末の通信をオフラインにして、僕が行くまで待っていてて」


「わ、わかった、待ってる」


 若干おびえたような響きが入った声を最後に電話を切った。


「というわけでノスタルジストはもう動いてるみたいだね」


 立ち上がり車に向かう。

 それにタイムラグなく針山警部が付いてくる。


「なんでまたこんな急にハッキングされたんだ、いままでこんなことほぼなかったぞ」


「淡雪ちゃんが死んだからだよ、へまをして淡雪ちゃんに尻尾をつかまれたら勝ち目はない、だから控えていたんだとおもう」


「ええい、これからはハッキングに今まで以上にきをつけかやならないみてーだな」


 その言葉にややげんなりした響きが混じっている。


 僕もその思いに同意しながら車庫に向かった。

明日も頑張ります。

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