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0426-7

間に合いました。

「ちぃぃ!!」


 ウォーモンガーの剣先はあまりに速く視認できない。

 アシストフレームの先読み能力だよりで凌ぐしかない。


 特別に支給された特殊金属で作られたナイフは火花を散らしながらも剣を受け流す。


 資料に乗っていた獲物よりもずいぶん細身だが――


「なんて切れ味だ!?」


 剣の軌道上にある調度品を材質に関係なく切り裂いていく。


 後ろに跳んで距離を取り右のサブマシンガンで銃弾をばらまく。

 牽制にはなっているようでわずかだが足止めができる。


 場所はこの部屋に入ってすぐのリビングのような場所につく。

 破壊された玄関は扉がついておらずエレベーターまで一直線だ。


「目標はウォーモンガーのみ、他は移動済み」


 ソファーを飛び越えながら、マガジンを交換し向かってくる方向に銃口を向ける。

 続いて報告する。


「ウォーモンガーは鎧を着ていない」


 と、いきなり身をかがめた。


 同時に白く輝くものが頭の上を通過した。

 肌に感じるのは――


「が!?」


 熱だ。


 バーナーであぶられたような高温。


 網膜に直接投影される表示には上半身に火傷が発生したと警告している。


「プラズマ砲か!?」


「ちぃ、一撃で上半身を蒸発させるつもりだったんだがな」


 と忌々しそうにウォーモンガーはつぶやいている。


 その展開していた剣先はすぐに閉じてしまう。


 いくつかの事からあることを思いつく。


()()()()()()()()()調()()()()()()()


「はん!! どうだろうね」


 瞬間移動と間違うようなスピードで踏み込んできて、右腕一本で大きく振り下ろしてきた。

 アシストフレームに迎撃を任せ、ソファーに置いてあるクッションを銃口に引っ掛けるようにして投げる。


「理由は不明だが、強化外骨格の使用もプラズマ砲の使用も最小限の様子」


 クッションが切り裂かれて羽毛が舞う。


 すかさず銃を連射する。


 視界が遮られるなかでの銃弾だ。

 やすやすとしのげないと思ったら――


「がぁ!!」


 右側からものすごい力で殴られた。

 アシストフレームがとっさに左に跳んだおかげでかろうじてつながっている。


「あたしから見にくいってことは、()()()()()()()()()()()()()


 ウォーモンガーはニ、三か所かすったような傷を受けているがほぼノーダメージだ。


 対してこっちは最低でも右腕は折れた。


「なるほどな」


 つぶやき、頭の中で納得した。


 相手を観測して、避ける事で身を守っているのだから視界を悪くするのは愚策だった。

 この映像をまとめて製造元に送る。

 全く新しい装備なのでこういう問題が発生したデータは大切だから優先して送る。


「さて、続きだ」


 燃えるような痛みが右腕から感じるが銃を構えることができる。

 現時点では逃げるのは難しいという事もあるが、何より今が絶好の好機だ。


 頼りは左のナイフだけだ。

 覚悟を決めて構える。


==========================〇=====


「あははは!!」


 ウォーモンガーの笑い声が響く。

 右腕のみだが、こっちの左のナイフと右の銃撃を悠々と捌く。


 原因はこっちの疲弊だ。

 火傷と右腕の骨折によって刻一刻と体力が失われる。


 そして――


()()()()()()()()()()?」


 左のナイフが目に見えて削れている。


 ナイフが折れたらもう無理だ。


「くっ!!」


 窓に向かって跳ぶ。


「させないよ」


 杭でも打つような無造作な動きで大上段から振り下ろされる。

 それをナイフを構えて受けて――


 ()()()


「くっ!!」


 視界には勝利を確信したウォーモンガーの顔とズタズタになった室内と灯がついたエレベーターとそのホール。


 突きを放つためにウォーモンガーは剣を構えて――


「しぃねぇ!!」


 それはアシストフレームも対処できない速度で発射され――


()()()()()


 こっちの声と同時に銃声が響く。


 ウォーモンガーの肩に血の花が咲いた。


「は!?」


 銃声の発生源は()()()()()()


 中には金属の扉を力づくで開けた一人とライフルを構えた三人。

 間髪置かず二人目、三人目と撃つ。

 狙いは正確で急所に向かい――


「クソ!!」


 身をよじり避けるが、アシストフレームの補助が入った腕利き三人の射撃をいつまでも避けることはできない。


 大きく舌打ちをして空に飛び出した。


「撤退する!!」


 顔を出して追いかけようとするが――


「うおっと」


 プラズマ砲が飛んできたので首を引っ込める。


 追跡俺たちだと無理だ。


 命を拾ったので大きく息を吐く。


 すると全身に電流のような痛みが走る。


 が我慢してエレベーターの四人に敬礼と共にねぎらう。


「ご苦労、それにしてもよくエレベーターでの奇襲を思いついたな」


「正確な位置座標と鎧を着ていないという情報が送られていたので」


 と答えを聞いたところで、体が限界になって崩れ落ちる。

 自身も含めて損失ゼロというはまぁまぁの結果だろう。

 と、自画自賛しながら意識が闇に包まれた。

明日も頑張ります。

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