4月11日-8
間に合いました。
あの後指示されてとある滑走路の近くに移動した。
しばらくすると黒く塗られたどことなくずんぐりむっくりの飛行機が滑走路に降りてきた。
中からいかにも軍人という見た目の男性たちが下りてきた。
その中には電話をかけてきた男性が居る。
「やあやあ、待っててくれてありがとう」
といって目隠しを渡してくる。
「で、早速で悪いんだけど目隠ししてくれない?」
「ああ、行く先を知られたくないんでしたよね?」
「うん、そう」
信じると決めたのですぐに目隠しをする。
俺は見た目がロボットっぽいのでとてもシュールになっているだろうが気にしない。
ついでにセンサー類も切っておく。
「話が早いのは助かるけど不安になるくらいだねぇ」
「信じるって決めましたから」
「なるほど」
ここで今更の質問を行う。
「ところでそちらの名前は?」
「ああ、そうかごめんごめん、僕の名前は青木だよ、よろしくね山上君と淡路――淡雪君」
「よろしくお願いします」
といって二人で頭を下げる。
「じゃ、早速出発だ」
という言葉ともに誰かに手を引かれて飛行機に乗り込んだ。
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飛行機の中では青木さんはずっと話しかけてきた。
世間話のようだが、おそらく機内で他の人同士の会話が聞こえないようにということだろう。
感覚的には1時間ほどだろうか?
それくらい飛行機に揺られていたら、着陸態勢に入ったのがわかる。
到着したらしい。
「えっと目隠しはいつまで必要ですか? あと少し肌寒いような?」
と淡雪が不安そうに伝えてきた。
その思いは俺も同じなので、青木さんが居ると思われる方に顔を向ける。
「そっちじゃないけど……、申し訳ないんだけど目隠しは羽田に戻るまではずっとだね」
「……厳重ですね」
「表向きはないことになってるからね、ほかの人に言ったら『居なかったこと』にされる可能性があるから気を付けてね」
軽い口調だがその中身はかなり物騒だ。
俺たち二人は何とかなるかもしれないが、危ないことはしないのが得策だ。
だからうなずいておく。
「さてじゃあ、民間人が絶対に立ち入ることができない場所にご招待ってね。」
どうやら地下に降りている気がする。
コンピュータが動く音が響いている。
「ええっと到着しましたか?」
「うん、そうだよ。 ここが日本有数の情報が集積される場所だよ」
「そういわれてもよくわからないのですが……」
しかし淡雪は劇的な反応をする。
案内する人に従いどこかの端末に接続した様子だ。
「すごい!! 今までの物とは次元が違いますね」
と無邪気に喜んだのはそこまでだった。
「あの、今気づいたのですが、ここってもしかしてエシュ――」
「ハーイそこまで!! それ以上は向こうのこわーい軍人さんが怒っちゃうからね」
かなりまずいことを口走りかけたようで、慌てた様子で青木さんはこちらの言葉を遮った。
「とにかく早く日本全土を助けてね」
「わかりました、ネットワーク上での最終決戦です、山上さんもお願いします」
うなずいて手探りで淡雪の元に向かい、抱き上げた。
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そこは羽田で見た光景とは全然違っていた。
視点としては日本全土を見渡すことができるはずなのだが、黒い靄のような覆われてみることができない。
「現地点は大雑把にいいますと青森ですね」
「青森にこんな大きな通信施設ってあったか?」
「……その疑問は胸の中に収めておきましょう、言及しすぎるとログを見られた時こわいですから」
「確かに怪しいことはやらないに限る」
というわけで頭を切り替える。
「今回もまた同じようにやるのか?」
「大まかにはそうですが、さっきは日本全土からみると狭い範囲を掃除したので反動は少なかったですが、今回は徹底的にやるので、掃除したのならその分の攻勢が流れます、つまり後になるほど激しい攻撃を受けます」
「じゃあ作戦は?」
というと、周りにたくさんのカードを浮かべる。
「重要拠点を先に制圧していきます、人口が多い都市の順にやっていけば大丈夫です」
「OK、ということは……」
「東京23区です」
と言って空へと飛び上がる。
同時にどこかへと光る糸が伸びている。
慌ててそれを淡雪を追いかける。
「この糸は?」
「飛行機の経路です、基本的に今は位置がわからない状態になっています、なので先に復興させた飛行機の経路をたどることで目的地に向かいます」
「? 最初の飛行機はどうやって向かったんだ?」
と素直に疑問を浮かべる。
「空港同士のつながりは回復させたので正確には空港を経由して現地に向かう感じですね」
「なるほど」
わかったようなわかってないような微妙だ。
しかし、そのようなことを話しているうちに目的地に着いた。
「さーて、早速やりますよ」
淡雪は一枚のカードを空に投げ、以前のようにモップを取り出した。
そして俺もまた、さっきのように剣を取り出し構える。
すると向こうから蜘蛛とトンボのような虫たちのグロテスクな大群が押し寄せてきた。
「あと少し、頑張りましょう山上さん」
「ああ!!」
明日も頑張ります。




