卯月廿六日-3
間に合いました。
「今まで集められた情報からすると敵は一種類」
と言ってモニターの一つに映し出す。
頭が真っ赤になっている人型だ。
「能力は主に二つ、武器を作り出す能力と仲間を生み出す能力ね」
そこでいったん言葉を切って言いなおす。
「いえ、生み出す能力と考えたらたった一つね」
「確かにそうなるな、単純だが厄介だ」
報告ではエリアごとに決められた数の怪物が居るとなっているようだ。
致命傷を受けたら即座に仲間を生み出して数を合わせる。
だから拘束して殺さないようにして相手をするしかない。
そういう意味では警察と相性がいい。
犯人を拘束することにかけてはプロフェッショナルだ。
「そう、敵の能力はおそらく一種類しかないの」
「? えらくこだわるな」
その言葉にうなずく。
「そう、これが大切なことなの」
一つ一つ確かめるように話す。
「事件の流れは滑走路上に赤い頭の怪物――そうね赤頭巾とでも言っておきましょう、赤頭巾が現れたことから始まるわ」
向こうもまた時間系列を整理しながら考えている様子だ。
「そこから空港内に忍び込んで増殖をしながら警備員を制圧して混乱のうちに管制塔まで向かった」
「そうだ、このとき外部はおろか中での連絡もできていなかった」
向こうはため息をつきながら続ける。
「来るって教えられなかったらどれだけ被害が出たか」
「そこよ、おかしなところ」
「は?」
向こうからそんな疑問の声が飛んできた。
「いい? 赤頭巾の能力はなに?」
「なるほどな、通信障害を起こした奴がいる」
「そういうこと」
話が早いのは助かるのでそのまま続ける。
「空港から出てきた相手は把握しているかしら?」
「そっちは大丈夫だ、怪物と直接対峙しないように警官を動かしたから一か所に集めてる」
おそらくもう連絡への妨害は行われていない。
なら目立たないように空港内か外のどちらかに居るはずだ。
「外に出た人はどれくらい拘束できるかしら?」
「……解決してからしばらくだな、空港内の人間もそうだ」
考える。
役目が終わった人間ならどのように動くか。
連絡の妨害をしていたのはおそらくノスタルジストのナードだ。
リーパーが護衛をしているはずなのでぱっと見は年齢差のある二人組のはず。
こっそり潜入してきたのならまだ空港内にいる可能性が高い。
出てきた人間は抑えられているなら身元の照会を行われる。
それに対して空港内に潜伏しているならおそらく本気で隠れたらほとぼりが冷めるまで隠れとおすことは難しくない
しかしその方法だと必然的に時間がかかってしまう。
ノスタルジストはメンバーが減っていることを考えるなら無駄な時間は食いたくないだろう。
となると――
「外に避難した人間たちを調べてください」
しかし、逃げ出した人数がどれくらいかはわからないが年齢差のある二人組というだけでは時間がかかることが考えられる。
時間がかかると最後の手段である強行突破をされる可能性がある。
外に出ているのだから追跡をかけられる覚悟を決めれば無理やり逃げるという道も充分ある。
もし私がノスタルジストなら少しでも怪しまれない、もしくは違うと思われるようなことを行うはずだ。
だからある一つの条件を付ける。
「さがす条件は――」
明日も頑張ります。




