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卯月廿六日-2

間に合いました。

「調子はいかがかしら?」


 成田空港近くに展開している警察の責任者に連絡する。


 相手はどこか弾んだ声で返事をしてくる。


「良い感じだ、今のところ隊員たちに大けがの者はいない、空港関係者で犠牲者がいたらしい」


 と沈み込んだ声で最後の部分を話した。


「それは――」


「フォローはいらん、サービスを頼む」


 その言葉にクスリと笑いながら――


「突入部隊からのフィードバックをいただけますか」


「ああ」


 言葉とともに今までの稼働で集められたデータが大型のサーバーに送られてくる。

 それを確認しながら会話を続ける。


「さすがにSATと機動隊の二種類の人に渡すとデータの集まりが違うわね」


「そんなに違うのか?」


 ええ。

 とうなずいて違う点を挙げる。


「機動部隊は突撃などの全身を大きく使う運動が多くて、SATは相手の動きを先読みした先への細かい動きが多いわね」


「へぇ、としか言えないんのだが、完成品じゃないのか?」


 その言葉には即答する。


「まだまだよ、アップデートで相互に情報を融通し合うようにするわね」


 たたき台はあったので受け取ったデータを踏まえて手直しをしていく。


「それをするとどうなる?」


 少しだけ考える。


「仲間が何かするときは今は見て判断しているけれど、それをする必要なく連携が取れるわね」


「効率化するってことか」


「そういうこと」


 アップデートを運び込んでおいたメインフレーム――もう一台のトレーラーの荷物に送る。


 そうしている間、向こうからもう一つ質問が来る。


「そういえば、そっちが専門家だって言って送り込んできた娘だが何をしてるんだ?」


「その子は後詰というか保険ね、もしもの時は彼女が動くの」


「は? 遊ばせておくのか?」


 その言葉は否定する。


「この騒動はまだ続くはず、そうなったときに専門家――二人いるのだけれどそれだけだと手が回らないことがあるでしょう? そうなったときに試験もなしにやるのは問題でしょう」


「人命かかってるんだがな」


 かなり強い口調で非難される。


「そこは意見の相違ね」


「はぁ――まぁそこはのむしかないな、提供された装備がないなら部下が間違いなく死んでいるからな」


「助かるわ」


 納得できなくてもとりあえず前に進まなければならないことがあるのでこの話はここで終わりだ。


「うーん?」


 首をひねる。


 その声に反応したのか向こうから問いかけが来る。


「なにかまずい事でも起きたのか?」


「違うわ、現地で起きたことのデータが拾えたから最初から追いかけているけどおかしな点があるのよ」


 向こうから怪訝な声が来る。


「おかしな点だと」


 鼻を鳴らすようにして言葉を続ける。


「最初から相手はおかしな奴じゃないか」


「最初から説明するわ」


 咳ばらいをして、私自身の頭の中の情報を整理するつもりで口を開いた。

明日も頑張ります。

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