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4月25日-10

間に合いました。

 言われた通り強化外骨格を着たまま基地を訪れる。


 するとすっかり身支度した穂高さんが待っていた。


「わざわざ済まないわね」


 話すとボロが出るかもしれないので無言で首を振り迷惑ではないことを示す。


「それでは帰りましょうか」


 と言ってゲートに向かって歩き始める。

 足はすでに呼んでいるらしい。


 その向かう途中で穂高さんは一枚のメモ用紙を渡してくる。

 不審に思ってメモに目を落とすと、表に大きく。


 そのまま目線でだけ読んで


 と書いてあったので慌てて目線だけで読むことにする。


 穂高さんの方に顔を向けると、きょとんとした顔をしている。


「どうしたの?」


 誰かに気取られるな。

 ということだろう。


 なので改めて首を横に振って何でもないことを示して、ゆっくり読み進める。


 内容は――


「!?」


 この基地に淡雪がおそらく潜んでいること。

 理由も簡単にだが書かれている。


 ただ気づかれたら間違いなく本気で身を隠すから気づかれないようにしないといけない。


 二枚目には強化外骨格を脱いだら気づかれずに近づけるかも?

 と書かれている。


「……」


 考える。

 確かに装備のすべては淡雪から借りている物なので場所の特定は容易だと思う。


 その考えで言うなら俺の命自体が淡雪からの借り物といえる。

 両手はとっくの昔に補修用の材料で置き換えられて。

 内臓も戦うたびに破壊され、一度も破壊されていない内臓は存在していない。


 それを考えると淡雪は俺を常に追跡していてもおかしくない。


「……」


 じっと押し黙り考え込む。


 今までは追いかける方ばかり考えていたが、結局は出てきてもらわないといけない。


 探し回ることは決して無駄じゃないと思うけど、無力感が湧いてくる。


「行かないの?」


 呼んでいた自衛隊の車に乗りこみながら穂高さんが話しかけてきた。


「その、知っているかもしれませんが俺の体はほとんどが人工材料で作られています」


「まぁ、大体は聞いてるわね」


 ともに乗り込みことばをかえした。


 走り始めた車の中で少しずつ話す。


「だとしたら淡雪は俺の動向をずっと知ることができるから見つけることは無理なんじゃないかって」


「えーとね――」


 穂高さんはゆっくりと何かを考えてから話始める。


「淡雪ちゃんは迷っていると思うわ」


「……」


 ゆっくりとしかしはっきりと続ける。


「自分の立ち位置をいまだに決めきることができず、根が善良に近いので逃げる事もできない、そんな子だと思うの」


 俺も何となくだがそう思う。

 殺されたアメリカ軍の軍人を野ざらしにすることもできずできる限りの事を行おうとしたり。

 人ができるだけ死なないことを目指したり、その結果に一喜一憂していた。


「そんな子が憎からず思っている人間が向かってきたとしたら、()()()()()()()()()()()()()()()?」


「それは……」


 考え込む。


 そして出した答えは――


()()()()()()()()


「なら十分ね、今すぐ出て基地に探しに行きなさい」


 と言って走っている車の外を示す。


「――()()()()()()


 思ったより素早く体が反応した。


 開け放した窓に向かって手をかけて――


()()()()()()()()()


「ええ、行ってらっしゃい」


 その言葉を背に受けて外に向かって飛び出した。

明日も頑張ります。

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