20190425-2
間に合いました。
渋い顔をしている針山警部に声をかける。
「正直成功する確率は五分五分じゃないかな」
「まぁな」
針山警部は静かにうなずく。
ルールさえ見破ればそれほど苦労することなく対処できるが、下手すると巻き込まれてひどいことになる。
今回はルールらしきものはあるが、すべて判明したわけでもないのでとんでもない落とし穴がある可能性が高い。
「あまりに拙速すぎる」
「だろうね」
素直にうなずくと、針山警部がさらに続ける。
「まず基本的なことを聞くが手錠をかける職業って何だと思う?」
「そりゃ、警察でしょ――ってまさか」
最悪の結果を想像する。
ソレが起きれば最悪にちかい結果になる。
「取り込まれる可能性がある」
「ないって言い切れないのが怖いよね」
務めて軽く言うが想像通りの事がおきる可能性は低くない。
「それって上に言ったの?」
「だから検討中だとさ」
さすがに今すぐ突入ということはしないらしい。
それを聞いて胸をなでおろす。
「うーん、とあると結論が出るまでに対処法を考えたいけど――」
「正直人手というか、何とかできるじんいんがいねーんだよな」
山上君なら連れ出せるだろうけど――
「純粋に一人で助けることができる状況じゃないよね」
「そういうことだ、人じゃねーから全員射殺してから突入なら可能性はあるが、政治家先生に当たるのが怖いからなしだとさ」
存在感を出したいのはわかるが、もう少し落ち着いた方が良い気がする。
と思っていると針山さんがあきれたような表情で――
「言いたいことあるなら言っといた方が良いぞ」
「もうちょっと落ち着いた方が良いね」
その言葉に対して苦笑に近い表情を針山警部は浮かべた。
「それが通るな苦労はない」
そこで一つ手を叩く。
ネガティブな考えから気切り替えるためだ。
「で、愚痴はここまでで早速どうするか意見をまとめよう」
「だな……よし、議員が拘束されているのは逮捕されたからだ」
その意見にうなずく。
今の話では手錠をかけられる――つまり逮捕されたから拘束された。
そう考えるのが素直だろう。
「……逮捕を無効化すれば開放できるって可能性はどうだ?」
「逮捕が重要なのか、手錠が重要なのかで別れるね」
二人で首をひねる。
結局あたりをつけるしかないのだが決め手がない。
ぼくひとりで突っ込むのは無駄足になる可能性が高いのでやる意味は薄い。
「逮捕令状の失効ってできる?」
「……それだ、奴らが令状の類を持っていたかどうかを調べるんだ」
言われて気づいた。
「ああ、そうか一応でも令状を持っていたら、それが必要なのか」
「そういうことだ!!」
といってジャケットを羽織りながら部屋の外に向かう。
それに慌ててついて行きながら――
「向かう先は?」
「つまみだされた警備員たちだ、電話だと取次だなんだで時間を食わされる可能性があるからな、直で押し込む」
その言葉に苦笑しながら同意する。
二人して覆面パトカーに飛び乗って出発した。
明日も頑張ります。




