4月25日-6
間に合いました。
思い浮かぶ場所なんてそれほど多くない。
だからまずは地元に戻ってくることにした。
「まずは……」
淡雪が使用しているホテルの部屋に向かった。
制服姿で入るとフロンの人間が軽く眉を上げるが、少し前までちょくちょく使っていた人間だとわかると視線を外した。
なので何食わぬ顔で淡雪の部屋に向かう。
淡雪の部屋のノブには室内のクリーニングがいらないことを示す札がかけられている。
「よし、と」
まずはノックしてみるが中から返事は来ない。
ノブに手をかけると――
「当たり前だけど開かないな」
と思いながら、渡されていた鍵で開けて部屋に入る。
申し訳ない。
と思いながらだが、どこかドキドキしている自分がいることに気付く。
「お邪魔します」
中は――
「見事に何もないな」
私物らしきものはほとんど置かれておらず。
ガランとした印象を受ける。
「わかっていたけどな」
何かないかと探すが、メモに走り書きで――
「さよなら、かぁ」
ただその言葉は斜線で消されていることと――
「来るって思っていたんだよなぁ」
そのことは間違いなく救いだ。
となると次は――
「告白した場所か?」
思いつく場所が思い出の場所ばかりで、そこが淡雪にとっても特別な場所であってほしいと願っていて。
逃げている最中でもつい立ち寄ってしまうだろうという女々しいに近い感情があることに気付いてバツの悪い思いを得る。
「まじめに考えないとな」
おそらくだが追っているのはノスタルジストだ。
遺体を丁寧に扱ったのは淡雪しか考えられないのであの場に淡雪が来ていたことは確かだ。
「となると、ノスタルジストの足取りを追うのか……」
できるだろうか?
という疑問がまず生まれる。
というのも今までさんざん追いかけているのに足取りをつかめていない集団を追いかけることができるかというのは正直ムリだと思う。
「いや、違う」
何も馬鹿正直に追いかける必要はない。
「追いかけるならどこに向かうかだ」
ノスタルジストの足取りを追うとき、淡雪ならどこに向かうのかを考える方が淡雪に追い付く可能性がずっと高くなるだろう。
「となると、どこだ?」
昨日から淡雪はノスタルジストを追いかけているのならネットで探すこともそうだけどドローンを使用して目視で探すと思う。
「ならブラックスミスのように電波塔などの通信設備を借りると思う」
もしくはスーパーコンピュータを借りるのもあり得ると思う。
「……絞れていないな」
ぼそりとつぶやく。
方向性は決まったが向かう場所が多すぎるもう少し絞らないと。
「うーん」
備品の椅子に腰かけて、鉛筆をもって考え込む。
残されたものはほとんどない。
アメリカ軍の軍人の遺体を弔うのに使った布やらケースとこのメモくらいだ。
「でも、なにか引っかかる」
のどに刺さったとげのように気になることがある。
よく考えればおかしなことがある。
それは――
「なんで淡雪が真っ先に来ているのか?」
口に出してみたらその異様さに気付く。
当事者であるアメリカ軍でも、情報を内部からとった穂高さんでもなく。
全くの部外者である淡雪が真っ先に訪れた。
これはおかしな話だ。
「偶然知ったのかもしれないけどそれよりもあらかじめ網を張っていたって方が自然だ」
となるとどこに対して網を張っていたのか?
それは単純だ。
「アメリカ軍の情報網だ」
口に出したら腑に落ちた。
ノスタルジストが長く付き合っていたのはアメリカ軍で、何かしらの接触があるだろうし、ウォーターゲート事件の絡みで何かがあると考えてもかしくない。
となるとあとは――
「ここまでの考えを話して相談に乗ってもらおう」
そうと決まれば話は早いので早速青木さんに連絡を入れることにした。
明日も頑張ります。




