4月25日-4
間に合いました。
「お疲れ様、山上君」
あの建物から離れて近くの見晴らしのいい場所――展望台で穂高さんに連絡を取る。
アシストアーマーから回収したデータはちょうどいま送信し終わったところだ。
「これでまた改良ができると思うわ」
改良できると言っても現場の凄惨な状況を見たら多少改良したところで追いつけるようなものではない気がする。
なので覚悟を決めて聞いてみることにした。
「……あの、こういうこと言うと怒るかもしれないですけど」
「一つだけで追いつく必要なんてないから、そもそもアシストアーマーというのは完成系ではないの」
いきなりのことを言われて驚いて聞き返す。
「えっとどういうことですか?」
穂高さんは電話の向こうで小さく笑いながら返事をしてくれる。
「ウォーモンガーの装甲を撃ちぬけると思われる武装はすでにあるからあとは当てるだけ、なのでほしいものは常識外れの動きをするノスタルジストの動きを先読みする方法とそれに連動して自動で攻撃する方法になるわけ」
そこで一拍間を取って。
「もちろん前に出て直接相手をする隊員の生存率が上がるのも大切だから、このアシストアーマーはあくまで現代の技術で作れるもの、つまり量産できるの」
「なるほど、量産して足止めして強力な武器で倒すと」
そこでふと疑問に思った事を聞く。
「ところでウォーモンガーの装甲を抜くことができる武器って何なんですか?」
「まず確実なのが艦砲射撃ね」
「え?」
おもわず声が出た。
が穂高さんは気にせず話し続ける。
「ミサイルなどでは撃ち落とされるでしょうが、艦船の速射砲の砲弾なら計算上はひしゃげて死ぬわね」
あっさり言ったが海にある程度近いところでないといけないのがネックだし――
「そのデータってどこから得たんですか?」
「ブラックスミスね、装備の整備をしていたので確実でしょう」
「なるほど」
さっきから、なるほどばっかり言っている気がする。
「さすがに艦砲射撃は言いすぎだけど、戦車の主砲でなら十分な被害を与えることができるのでメインは戦車ね」
「となると結構大変ですね、ウォーモンガーの動きからしたら戦車を撃破するのは」
その言葉には穂高さんはあっさり頷いて。
「たしかにそうね、なので足止めとあわよくば倒す役は山上君がやってもらうことになるわ」
「わかりました」
そこでこの通信について今更気になったことがある。
「この通信はその――」
はやい話が盗聴だ。
アメリカ軍の基地で向かう地点を教えられた時もスパイみたいな方法で教えられた。
つまり穂高さんは監視や盗聴を気にしているということだ。
「盗聴については大丈夫よ」
「どうしてですか?」
苦笑に近い笑い方をして。
「第一に私は与えられた部屋でパソコンに向かってシステムの改良を行っている途中で悩んでいるようなふりをして極々小声で話している」
「そうなんですか?」
「ちょっと音声を拾う場所に細工をして、口元をおさえるようにして画面とにらめっこしているように見えているわね」
そして。
と言葉を繋ぐ。
「回線は淡雪ちゃんやブラックスミスが使っていた回線を使っているから回線からの盗聴も無理よ」
「なるほど、それで次はどうすればいいんですか?」
「今からあるファイルを送るから針山警部と合流して、青山氏と三人で動いて私はこっちでするべきことをするから」
その言葉にうなずいて。
東京にむけて空に飛びあがった。
明日も頑張ります。




