4月11日-3
orz
二日続けて短くて申し訳ないです。
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銃弾で脳を破壊された人間が毒物によって殺される。
普通なら即死するためありえない状況だ。
それの説明を行えという要求を突きつけられる。
相手の目はできるはずがない。
という光が浮かんでいる。
淡雪は言い切った。
「私が思うに彼ら3人はカレーを食べて死ぬ役をあてがわれたためです」
「えらく非科学的ですな」
鼻で笑うように返された。
「確かに非科学的ですね、ですが証拠はありますよ」
「どこに?」
「逮捕時にです」
そこで相手がピタリと動きを止める。
そしてじっと淡雪を見据え。
「どこで知りました?」
「毒殺した存在はもういないからです」
何かを言いそうになった相手を淡雪は手で制した。
そして説明を続ける。
「非科学的なのは重々承知していますが、毒殺した犯人は対象を役割にはめ込む存在として考えれば説明が可能です」
「ほぅ……」
そこで相手は聞く態勢に移った様子だ。
「役割にはめ込む、とは?」
「映画で主人公の手で倒されるライバルキャラがかなり銃弾を受けても生きているように、毒殺される人間はそれ以外では死ななくなるのだと思います」
「それで納得しろと?」
淡雪が小さく笑ったのがわかる。
「先ほどいつ逮捕したのかとききましたね?」
「ええ、逮捕したのは確かだったのですが――そんな報告は出していない、とても信じられるはずがないので」
「なぜなら砕けて消えてしまったからですね」
明らかに顔がこわばる。
「役割というのは犯人にも適用されるのです、ドラマなんかでもそうですが、犯人の最期はどうなりますか?」
「殺されるか――逮捕される」
そこで相手は改めて口を引き結ぶ。
「元々いない存在だったので、役割が終わったら存在も終わる」
「証拠がないけど説明は付く、と?」
はっきりと淡雪がうなずいた。
何事か言おうとして少し悩んでいる様子だ。
そして絞り出すような声で呟き始める
「どう言ったらいいものでしょうかね」
「何をですか?」
視線を向けてくるが、すぐに外す。
やり場のない感情だと表すように。
「仲間の死です、それも全く想定していない死です」
一言ずつ漏らす。
押しとどめきれない感情に流されるように。
「こんな変死は想定していません」
「……私は社会経験と言えるものがまだほとんどありませんが――」
淡雪は半分以上疑問を込めた言葉を相手に投げかけた。
「想定されたように死ぬなら、避けるのではないですか?」
「何を変なことを」
話にならないとでもいうような口調だ。
「事故死を避けるために周囲に注意を払い、病死を避けるために健康に気を付けるでしょう? だとしたら死ぬことはすべて想定外ではないのですか?」
「じゃあ、淡路さん!! 二人が不注意だったから死んだ、自業自得だとでも!?」
襟首をつかみかからんほどに詰め寄ってくる。
それを片手で押しとどめて。
「それは理論が飛躍していますし、お二人の前ですよ」
「く……」
まだ留飲は下がった様子はないがとりあえず落ち着きを取り戻した様子だ。
そこで気づいた、相手は感情のぶつけ先を探しているのだ。
おそらく署内全体で。
街で連続する不可解な事件へのいら立ちもあるのだと思う。
そしてちょうどいいタイミングで淡雪がやってきた。
そこまで単純な話ではないと思うが、感情の折り合いをつけることができていないのだろう。
淡雪は丁寧に元あったように安置する。
「想定していない死だからどういう感情を出していいかなんて考えてはダメだと思います」
ラックの扉を閉じて、相手を見据えて。
「お二人やあなたも仕事の上で死ぬことを覚悟していたとしても、仲間が死んだら悲しい、それでいいじゃないですか」
「く……」
言葉に詰まったようだ。
「たとえその言葉に正しい面が含まれていたとしても、警察官は法による治安維持装置でないといけない」
「大変そうですね」
「大変なだけならこの仕事はやってないですよ」
ここで明確に態度が和らいだ。
「死んだ同僚の嫁が知り合いなのでちょっと血が昇っていたかもしれないですね、しかもその患者が殺した可能性も否定できないのでなおさら」
あきらかな関係者が捜査に加わっているのもどうかと思うが、なにか理由があるのだろう。
そして、内容から嫌な予感がする。
「もしかして、その患者って……」
「ええ、安逹 佳純です」
嫌な予感は的中した。
あわてた様子で淡雪は相手に警告する。
「言うのが遅れましたが、これを引き起こす存在はまず関係者を狙います。」
「口封じに失敗した相手をもう一度狙ったくらいです」
「っ!?」
部屋から急いで飛び出して何事か指示を出していく。
主治医と安達の世話をした看護師などの安否を確認する指示だ。
と、俺の耳にノイズから始まるあのいやな声が聞こえる。
「新元号は平成です」
明日も頑張ります。




