April 25th 2019-2
間に合いました。
「測位完了したそうです」
「よし!! 支援を要請してくれ、いまだに逃げた様子はなしだ」
了解。
と短く返事が来る。
「一段落、か」
胸をなでおろし。
軽く息を吐いた。
あたりは日がさし始め気を引き締める。
この時間が危険なのだ。
と、日の出を見て驚いた。
「あ、あれは……」
「なんですか?」
と副官もみて絶句する。
「富士山」
生まれはアメリカだがそれなりに日本に居ればいやでも覚える特徴的な形。
日の出に照らされたその光景に思わず目が奪われる。
それでもたった一瞬――たった一瞬だった。
「あぁぁぁぁ!!」
叫び声と共に部下の一人、工兵技術を持つそいつの顔半分がかじられるようにして無くなった。
表情は自身に何が起きたのか全く理解していない様子だ。
断面から中身をこぼしながら崩れ落ちる。
痛みもなく即死したのは救いなのだろう。
行ったのは赤黒い装甲の獣じみた姿勢の人型だ。
おなじみの強化外骨格というやつだろう。
「散開!!」
強く叫ぶ。
それだけで全員が訓練に従いとび退る。
あらかじめ掴んでいる情報ではアサルトライフルの小口径では牽制にもならない。
だからわざわざより口径がでかい古臭い小銃を引っ張り出している。
慣れた動きで初弾を叩きこむ。
それは狙った通り体の末端部に直撃し、火花と衝突音を立てて弾いた。
「がぁっ!!」
四人でそれぞれ別の場所に叩き込んだため、どれだけ安定性があろうとコマのように弾かれるようにこけた。
「コードネーム・ビーストと遭遇!! 撤退に移る、どうぞ」
もう暗号化もくそも存在しないのでがなるようにして司令部に連絡を飛ばす。
「承認する、どうぞ」
「感謝する!!」
それだけ伝えて発煙筒を投げて目くらましに移る。
まだこけているはずだと信じて、まっすぐ殺された奴の元に走りドックタグを引きちぎる。
嫌な予感がして前に飛びこむようにして身を投げ出す。
「ちぃぃ!!」
ちょうど頭があった場所を金属の何かが通り過ぎた。
「ちょっとは寝とけ!!」
足に向かって連射する。
一発ごとに殴られるような衝撃を感じる。
同時に金属を思いっきり殴る耳障りな音が連続する。
「あぁ!!」
「っこの!! くらえや!!」
手にした銃をぶん投げて、死んだ奴の銃を代わりに拾い。
投げた銃のマガジンを撃ちぬく。
腰にぶら下げていた手りゅう弾も回収する。
「ぎゃ!!」
暴発し破片をばらまく。
多少離れていた俺はともかく、ビーストは――
「あぁああ!!」
さすがに驚いたようでのけぞっている。
「ええぃ!! 相変わらずくそったれだな!!」
逃げろという指示を出した以上、殿は隊長である俺が務めるべきだ。
それに使用準備ができていないが専用の装備も持っている。
俺が時間を稼ぐしかない。
だから他の三人が全力でゲートに向かっていることを確認したら。
「こいやぁ!!」
足を緩め迎え撃つ。
同時にいきなりと言える速度で俺の頭をかじろうとしてきた。
「くっ!!」
とっさに手りゅう弾ごと口の中に突っ込む。
「!!」
噛む前にとび退った。
あぶねぇ。
安全ピンを抜いていないので無駄にするところだった。
と胸の中で安堵する。
そしてビーストは右の手の平を突き出してきた。
当たればえぐられる。
そう感じる。
「終わりか!!」
と、その時だ。
「がぁ!!」
ゴン。
と鈍い音がしてビーストが地面にたたき伏せられた。
それは個人が運用できる銃火器では最大火力を持つ対物ライフルだ。
小型の大砲みたいなものがふいにあたったら叩き潰されるのも納得だ。
そして――
「試作装備の使用準備完了」
「間に合った」
被ったスコープの端についさっき展開したドローン群のデータリンクが完了したことを示すメッセージが出る。
すぐわきに金属で作られた巨大なジンジャークッキーみたいなものが降ってきた。
優秀なドローンを大量に運用できるからこその迅速で正確な輸送だろう。
ビーストが立ち上がる前に所定の場所に足を合わせる。
すると立ち上がるようにして体に装着される。
「よし!!」
メカニックがノリノリで星条旗モチーフのペイントをしたらしく。
とても気に入っている。
「さぁて、やろうじゃねぇか」
対物ライフルを手に取り、大きく後ろに跳んだ。
明日も頑張ります。




