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Apr. 25 2019-1

間に合いました。

「クッソぉ!!」


 いきなりの罵声で目が覚める。

 寝巻のまま声の元に向かう。


 いわゆる平屋づくりの日本家屋で手狭気味だが人数が少し減っているので問題ない。


 途中で部屋の隅で膝を抱えるような格好でぶつぶつ何かつぶやている橘君がいる。

 見た感じでは限界は近いでしょう。


 それのことを頭の片隅にとどめておいて、先ほどの声を思い出す。

 声からするとウォーモンガーだろう。


「どうしまし――」


 たか?

 と続けようとして驚く。


 左半身が爆破されたようにズタズタにされている。


「……その様子ですと」


「負けたよ!! やられた」


 と悔しげに叫ぶ。


 取り合えず肩をすくめながら話しかける。


「とりあえずご飯とってきますね、ブラックスミスがいないのですから修復は不可能なので自然治癒しか見込めませんよ」


「ああ、たのむ」


 といって強化外骨格の一部を呼び出して欠損した部分を補い座り込む。


 台所に戻りながらメニューを考える。


「正直どこまで体の機能がもっているかわからないですから、病人食が良いですよね」


 と思いながら何かないか探すと――


「うどんがありますね」


 乾麺タイプのうどんが見つかった、賞味期限はまだまださきのようだ。


 隠れ家として選定する時にもつ乾物を持ち込んでいたことを思い出す。

 だが、それだけではどう考えてもカロリーとたんぱく質、そして脂質――体を構成する物質の量が足りていない。


「うーん、たんぱく質は――」


 業務用の冷蔵庫を漁ると安かったかまぼこや薄揚げが見つかった。

 あと玉子もある。

 乾物にワカメなどの海藻類もあったので煮込みうどんだ。

 卵も載せるので全部のせのようなよくばり感がある。


 寝巻の上からエプロンをつけて準備を始める。


「ふむ……不謹慎ですがウキウキしてますね」


 手洗いを済ませて準備を始める。


 まずは材料を切り始める。


「薄揚げは油抜きをした方がおいしいですが――」


 脂質が欲しいのであえて油抜きをせずに食べやすい大きさに切りそろえる。

 煮込みうどんのネギは斜め切りにするが、厚めの方が私は好みなので厚めに斬っていく。


 そうこうしている間にウォーモンガーが現れて。


「いや、調理とかいいからとにかく食料をくれないか?」


「だめです」


 その言葉を笑顔で一刀両断しながら、冷蔵庫に入っている食材で今すぐ出せるものを探すと――


「ナードのコーラがありますね」


 本当ならよくないが――


「とりあえずこちらでカロリーと水分を取っててください」


 といってペットボトルごと渡す。


「わかった」


 と言うが早いか一気飲みをした。

 苦痛に強い存在ですが。


「いくら何でも無茶しすぎですよ」


「足りねーんだって」


 その不満を、はいはい、と軽く流しながら。


 出汁と醤油などを投入しながらあることを思いつく。


「ウォーモンガー? この鍋沸騰させることってできるかしら?」


 プラズマなら一瞬で出来るだろうと思って問いかけるが――


「無理だ、鍋ごと蒸発するか水蒸気爆発でズドンだ」


「残念」


 と言っているうちに鍋が湯だち始める。

 乾麺をばらけさせて鍋に投入する。


 泳がせるように湯がく。


 ふつふつと沸騰が続き、食欲がわく香りが満ちる。


 ある程度ゆがいたら、溶き卵を鍋にぐるりと回しながら投入する。


「はい、出来上がりですよ」


 鍋敷きの上に直で置いて、箸ととる器を渡そうとするが――


「はいはい、いただきます」


 言うが早いか飲むように食べ始めた。


「こら!! お行儀が悪いですよ!!」


 と少し悲しくなりながら注意するが――


「すまんすまん」


 とどこ吹く風だ。


 はぁ。

 と肩を落としながらウォーモンガーが食べきる前に次の料理を始めた。

明日も頑張ります。

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